多数の車輪で不整地もOK! 愛称「ムカデ」の輸送機 Ar.232が幻の傑作機になったワケ

Ar.232の試作機が完成するも…エンジン換装で機体サイズも変更に

 初めて設計したとは思えないほど非常に完成度の高かったAr.232は、1941(昭和16)年初頭に試作機2機が完成します。前述したような特徴的な降着装置から、愛称はドイツ語でムカデやヤスデを含む「多足類」を指す単語「タウンゼントフューラー」と名付けられました。同年6月に初飛行にも成功、しかし順調だったのはここまででした。

 試作機は当初、BMW製の最新高出力エンジン「BMW801」を搭載していました。1基で1600馬力を発揮するもので、Ar.232はこれを2基搭載する形で設計されたのですが、BMW801の生産数が計画通りに進まず、完成したエンジンは優先的に戦闘機をはじめとしたほかの機体に回されることになり、Ar.232は試作機が完成したあとで違うエンジンを使うことが軍部から命じられたのです。

 新たなエンジンは出力1200馬力のBMWブラモ323でした。これを4基搭載することになったため、機体設計を改める必要に迫られます。エンジン数の増大により主翼は左右で1.5mずつ伸び、全幅は3m大きくなったほか、機体の重心位置も変わったため、胴体も後方へ1m伸ばされました。

 なお、この設計変更で既存の2発エンジン機はAr.232Aとされ、新たな4発エンジン機はAr.232Bとされます。

【写真】飛行機の心臓であるエンジン数を変えたAr.232B

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