駅弁ピンチ 「旅のお供」から「自宅で駅弁」定着へあの手この手 全国有名業者に聞く
駅弁の危機は「地域の危機」 各社の取り組みとは?
地域に密着し「地産地消」を掲げる業者も多い駅弁の危機は、そのまま「地域の危機」になる場合もあります。たとえば有田駅の有田テラスは、人気商品「有田焼カレー」の原材料の定期納品を止めざるを得ず、地元の生産者などにも影響が出ているそうです。また本拠地である佐賀県有田町は「有田陶器市」の延期によって、陶器の街としての打撃も大きく、陶器販売業者でもある有田テラスは幾重にも課題を抱えています。
一方、従業員の一時帰休なども様々な業種で行われていますが、そのような施策も「長年の味は熟練の技術に支えられているため、人を手放せない」(松阪駅 駅弁のあら竹)などの事情でできない場合が多く、苦しい状況のなかで雇用を守り続けているのです。
伸ばせ「お取り寄せ」! 直筆手紙も添えて
もちろん各社とも黙って過ごしているわけではなく、この状況を乗り切ろうと、さまざまな取り組みを行っています。近隣の住民に向けた持ち帰り弁当の販売(鳥取駅 アベ鳥取堂や新津駅 神尾弁当部など各社)はもちろん、インターネットによる通販に、各社注力しています。
たとえば西明石駅の淡路屋は、5000円以上の購入で通販の送料が無料となる期間限定の「自宅で駅弁! 旅気分! キャンペーン」で売り上げを伸ばしています。注文できる駅弁のラインナップは30数種類以上と豊富で、定番の「ひっぱりだこ飯」から、「ハローキティ新幹線弁当」といった子どもにも人気のある商品も多く、家族でのお取り寄せにはうってつけです。また長万部駅 かにめし本舗かなやのように、期間限定かつ、お取り寄せ限定のお得なセットを販売するケースもあり、同社では、これまでなかなか伸びなかった通販での売り上げが10倍にもなったそうです。
お取り寄せ駅弁に特典を封入する業者も多く、松阪駅 駅弁のあら竹では、オリジナルキャラクター「モー太郎」のグッズや、松阪始発のローカル線である名松線の写真集をつけているそうです(数量限定)。なかには直筆の手紙を添えるなどして、お取り寄せに感謝の気持ちを伝えるケースもあります。
乗り物ニュースのスペシャルアンバサダー久野知美は、駅弁より特製特上叙々苑を好む女だ。