駅弁ピンチ 「旅のお供」から「自宅で駅弁」定着へあの手この手 全国有名業者に聞く

広がる支援の輪 「次」を模索する駅弁業界

 苦境に立つ駅弁業者には、各方面から励ましの声も寄せられています。「数十年通っていますがいまは通販で買います」「収束したら行きます」といったメッセージだけでなく、松阪駅 あら竹のように、販売促進に使えるグッズなどがファンから寄贈されるケースも見られます。

 前出した、通販の駅弁に添えているという名松線の写真集がそれで、もともと新型コロナの影響で中止になったイベントで使用予定だったものを、長年のあら竹ファンがまとめて同社に差し入れたのだとか。廃棄の危機にあったグッズが思わぬところで駅弁屋さんのピンチを助けることになりました。

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母の日用包装がなされた、あら竹の商品。特別な日のプレゼント需要にも支えられているという(画像:駅弁のあら竹)。

 新潟県では、新津駅 神尾弁当部などの駅弁業者を地元スーパーが応援する、「頑張ろう! 新潟の駅弁フェア」が開催され、多くの購入があったそうです。また北海道では、長年のファンも多い長万部駅「かにめし弁当」も、近隣スーパーでの売り上げが前年比を越えているといいます。外出自粛のなか、「旅行気分で美味しいものを食べたい」という人々も多く存在するのです。

 姫路駅 まねき食品は、宅配の下限金額を大きく下げ、オードブルや「初夏のおせち料理」(5月末発売)などを自宅でも楽しめる宅配サービス「まねきでり」を5月中旬から開始するなど、今後に向け新たな施策を展開しています。店での飲食に制約が残り、製造から喫食まで時間を要する宅配が増えているいまこそ、「冷めても美味しい」「持ち帰っても美味しい」「食べるのが楽しい」を長年にわたって追求してきた駅弁業者のノウハウが、全国で発揮されるときなのかもしれません。

 また、この状況下でユニークな新商品を打ち出すケースもあります。西明石駅の淡路屋による、貯金箱にもなるブタ型陶器の弁当「豚々拍子」や、定番駅弁「ひっぱりだこ飯」の容器そっくりの蛸壺型コーヒーカップなどが挙げられるでしょう。1995(平成7)年の阪神・淡路大震災では、自らの被災も顧みず被災地に食事を提供し続けた「あきらめない駅弁屋」こと淡路屋が届けるささやかなユーモアに、心なしか力強さを感じるのは気のせいでしょうか。

 全国の駅弁業者は、創業から100年を越える会社も多く、その歴史は戦争や天災などとともにあります。誰もが苦しい状況にあるいまだからこそ、過去の苦難を乗り越えて、地域の食の魅力をコンパクトに伝え続けた「駅弁」を、食卓に取り寄せてみるのもよいのではないでしょうか。

【了】

北から南まで名物駅弁イッキ見!(写真25枚)

Writer: 宮武和多哉(旅行・乗り物ライター)

香川県出身。鉄道・バス・駅弁など観察対象は多岐にわたり、レンタサイクルなどの二次交通や徒歩で街をまわって交通事情を探る。路線バスで日本縦断経験あり、通算1600系統に乗車、駅弁は2000食強を実食。ご当地料理を家庭に取り入れる「再現料理人」としてテレビ番組で国民的アイドルに料理を提供したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」など。

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  1. 乗り物ニュースのスペシャルアンバサダー久野知美は、駅弁より特製特上叙々苑を好む女だ。