新型コロナ禍で貨物型エアバスA380デビューへ 貨物型「ジャンボ」B747Fと比べると…?

新型コロナなどの影響を受け、世界最大の客室をもつエアバスA380型機の貨物型デビューが実現濃厚です。いまだ根強い需要を持つボーイング747「ジャンボ貨物機」とどこが違い、どこにメリットがあるのでしょうか。

客室面積であれば747-400の約1.5倍の「A380」

 ドイツのルフトハンザグループで、航空機メンテナンスを手掛けるルフトハンザテクニックが2020年5月、エアバスA380型機を貨物機仕様へ改修する方針を発表しました。これは、新型コロナウイルスの世界的感染拡大の影響により、旅客需要が停滞したことを受けてのものといいます。

 エアバスA380型機といえば、総2階建てで世界最大の座席数をもつ、世界屈指の巨大旅客機です。2020年5月現在、運航している同モデルのなかには、旅客機世界最多となる座席数600席超を達成し、実現こそしなかったものの、800席超の座席を配する計画もあったなど、その大きさについての話題は枚挙にいとまがありません。

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総2階建ての巨大な胴体をもつ、エアバスA380型機(画像:エアバス)。

 A380型機の貨物専用型がどこから発注をうけたのか、また具体的にどのような仕様となるのかについてはまだ明らかになっていないものの、たとえば同機の客室面積は「ハイテクジャンボ」ことボーイング747-400型機の約1.5倍です。

 実のところA380型機の貨物型は、かつて旅客型と並行して開発が発表されていました。最終的に航空会社から受注がなかったことから、エアバスはこれを開発延期としていますが、昨今の事情を踏まえ、いわば前倒しで現実となりつつあるかたちです。

 かたや「ジャンボ」ことボーイング747型機の貨物機、747Fシリーズ(「F」は貨物専用機を表す「フレイター〈freighter〉」のF)は2020年5月現在、NCA(日本貨物航空)など世界の貨物専用航空会社や旅客航空会社の貨物部門で主力級の働きを見せています。

 商用航空機におけるコストパフォーマンスの高いエンジン双発化のトレンドにより、4発エンジンである747Fシリーズも一部で置き換えが進んでいますが、とはいえ4発エンジン機のほうがパワーもあることから需要があります。これからA380型の貨物機が、市場を席捲する日がくるのでしょうか。

 もちろんどのような改修がされるかによるものの、いまのところそのハードルは、高い状況でしょう。

【写真】荷物の積み下ろし方もユニークな「ジャンボ貨物機」

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コメント

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4件のコメント

  1. 今商機に、貨物専用機は、747だけでなくA380まで貨物専用機が。

  2. とうとうA380も貨物機出ちゃうもんね("⌒∇⌒")

  3. Lufthansa technikにて改修中のA380は余剰旅客機の貨物搭載能力向上型であり胴体側面にSide Cargo Doorが取りつきません。貨物ドアを備える改修にはSTC取得に数年間掛かるので不可能でtemporary operational changeが限度になります。貨物パレット、コンテナを搭載できない以上、貨物専用機として設計された747Fと比較すること自体無意味です。またA380F提案型の欠点は床面耐荷重の低さよりも貨物室の高さ制限で背高の大型貨物が搭載できないことでした。本記事はAviation Week等欧米の専門誌に比べて随分レベルが低い印象を受けます。

  4. A380は旅客機専用に開発されたのに比べ、B747は元々が貨物機からの転用だった事が今になって逆に有利とか、エアバスは貨物機に転用し易い設計にして置くとか、計画段階で織込めなかったのかと不思議だ。
    Eu統合に際し通貨を共通にしたら、これ程までに不便になる事が予測出来なかった失敗と似てる。やはり若い米国の方が考え方が柔軟なのだろうか?
    30年経済成長が止まってる歴史の古い日本も、EUと同じ隘路に堕ちては居ないか?