「停止線の位置変わりました」理由は交差点のコンパクト化…小さくするとなぜ安全に?

左折車にちょっと意地悪? 速度を落とさせる仕組み

 前出の国土交通省OBによると、「交差点のコンパクト化」は一般的に、停止線や横断歩道を前に移設することだけでなく、左折箇所における「隅切り半径の縮小」、つまり左折の角度を小さく(きつく)することも、そのひとつだといいます。

「大きな交差点で、左折の角度が大きいとスピードが出てしまいます。そこで、交差点の角の歩道部を道路側に広げるなどして、左折の進路をわざと急にすると、クルマは自然とスピードを落とすようになるわけです。これには、交差点全体の見通しをよくする効果もあります」(国土交通省OB)。

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堀川塩小路交差点で行われる交差点コンパクト化の概要。堀川通北行きの停止線と横断歩道を前方に移設し、歩道橋の階段が一部撤去される(画像:京都国道事務所)。

 このほか、国土技術総合研究所の資料によると、停止線の前方移設は、黄色信号で進行しようか停まろうか迷いがちな「ジレンマゾーン」の縮小に、横断歩道の前方移設は、右左折車から横断歩行者を見つけやすくすることに、それぞれ効果があるといいます。

 このような交差点のコンパクト化は、1996(平成8)年に国土交通省と警察庁が連携した「事故多発地点緊急対策事業」の対策メニューのひとつとして打ち出され、全国で順次、進められています。たとえば、名古屋市の名二環(名古屋第二環状自動車道)に並行する国道302号の猪高台交差点では、コンパクト化により赤信号で交差点へ進入するクルマの台数が約45%、左折時の速度が約18%、それぞれ低減したというデータもあります。

【了】

【画像】「交差点のコンパクト化」事例

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コメント

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2件のコメント

  1. 記事の中で、「右折車線の車列が後ろへ延びて、直進車を阻害することによる渋滞が発生しており、これを防ぐ狙いがあります。」と書いてありますが、これは、青信号の後に右折の信号に変わる、日本の信号システムが悪い。右折の信号を先に移し、その後に青信号に変わる信号システムで改良できます。ちなみに、米国では右折の信号の後に青信号になります。
    路面の改造が不要で、信号の点灯順序を変えるだけで、費用も少なくて済みますから、対処して欲しいですね。
    警察の関係者でも、米国を旅行して方は沢山いらっしゃるでしょうけど、米国の経験を活かそうとする方が出て欲しいですね。

    • 右折の信号?アメリカは右側通行では?
      アメリカでは右折(日本の左折)に際し、安全が確認できれば赤信号でも進んで良いはず(広いですから州によって異なりますが)。
      日本では現実問題として右折矢印のあとに青玉信号出すと右折直進同士のいわゆる右直事故が増えるからやらないのでは。