もはや別物! A-10「サンダーボルトII」最新型は40有余年の時を経て「完成」の域へ

A-10で「やりたかったこと」がようやく実行できるように

 しかしA-10Cならば地上軍から統合戦術情報分配システムを通じ、攻撃して欲しい目標の位置座標が正確に送られてきます。そのため迅速に赤外線前方監視装置によって照準でき、続いて赤外線前方監視装置によって得られた映像を地上軍へ送信しそれが正しい目標であることを確認してもらえるため、最初の攻撃要請から極めて短い時間でミサイルや誘導爆弾を正確に投下することが可能です。

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初期型A-10Aの操縦席。右のブラウン管はAGM-65マーベリック誘導ミサイルの照準用で、マーベリックを疑似的な赤外線前方監視装置として使うことも(画像:アメリカ空軍)。

 こうした地上軍と密接に共同し爆撃する作戦を「近接航空支援」と呼び、古くは無線が実用化された第2次世界大戦ごろから行われています。しかし上記のように音声無線だけでは非常に難しい任務であり、実のところ20世紀中の近接航空支援は時間がかかる上に失敗や誤射が多い、とても難しい作戦でした。冷戦時代は核攻撃しすべて解決してしまうことさえ真剣に考えられており、実際Su-7やF-105など核搭載戦闘爆撃機が開発されるほどでした。

 A-10Aはこうした核一辺倒の考えをやめ、近接航空支援専用機として設計されましたが、その思想はA-10CでIT化、スマート化することで、初飛行から40年を経た現代でついに完成に至ったといえるのかもしれません。

【了】

【写真】世界中で売れまくり! 「持たざる者のためのA-10」スホーイSu-25

Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

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