哨戒機は「転職組」が増加中 不振の旅客機から華麗に転身したP-3の拓いた「道」とは?

洋上での潜水艦監視などを主任務とする哨戒機、海上自衛隊が運用するP-3Cは、実は純粋に哨戒機として設計されたものではありませんでした。その開発経緯をたどりつつ、世界の「転職組」哨戒機を概観します。

旅客機などから哨戒機への転身なぜ増えてるの?

 旅客機の持つ長い航続距離と大きな機内スペースを活用したP-3の成功により、現在では旧ソ連がイリューシンIl-18旅客機を基に開発したIl-38や、日本エアコミューターが運用しているATR72-600旅客機を基に開発されたATR-72 MPAやATR-72ASWといった、ターボプロップ旅客機を基に開発された哨戒機が増えつつあります。

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パキスタン海軍が運用している「ATR-72MPA」(竹内 修撮影)。

 また、ボーイングが737NG旅客機を基に開発したP-8A「ポセイドン」や、EADS CASA(現エアバス・ディフェンス・アンド・スペース)が開発したターボプロップ戦術輸送機C-295を基とするC-295MPA、サーブがボンバルディア・エアロスペースのビジネスジェット機グローバル6000を基に開発を進めている「ソードフィッシュ」など、ターボプロップ旅客機以外からの哨戒機への「転職」も増えています。

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ボーイング737を基に開発されたP-8A「ポセイドン」(竹内 修撮影)。

 これは哨戒機が対潜水艦戦で果たす役割が、潜水艦の探知と攻撃を一手に担う従来の形から、無人航空機や無人潜水艇などを組み合わせたネットワーク戦の司令塔へと変化しつつあるためで、P-1やフランス海軍が運用している「アトランティック2」のような、潜水艦の探知と攻撃を一手に担う純粋な哨戒機は、むしろ少数派になりつつあります。

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フランス海軍が運用している「アトランティック2」哨戒機(竹内 修撮影)。

 P-1は2017年6月に開催された「パリ国際航空宇宙ショー」に参加していますが、筆者(竹内修:軍事ジャーナリスト)が会場でニコニコしながらP-1を眺めていた年配のイギリス人来場者にP-1の感想を聞いたところ、彼は「モダンで素晴らしい航空機だけど、なんだかちょっと懐かしい感じもするね」と語っていました。

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海上自衛隊のP-1哨戒機は最初から哨戒機として設計、開発された(画像:海上自衛隊)

 彼の言う「懐かしさ」とは、もちろんP-1が時代遅れな航空機だという意味ではなく、いまや少数派になってしまった純粋な哨戒機という存在に対する郷愁の想いによるもので、この言葉は哨戒機のあり方が変化しつつあることを的確に表していると、筆者には感じられました。

【了】

【写真】P-3哨戒機の原型 LAドジャースが所有したL-188A「エレクトラ」 ほか

Writer:

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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コメント

1件のコメント

  1. 軍用機と旅客機の間は曖昧って話ですかね……。

    そういやB747は「輸送機の選定に落ちた。米軍許さん」が気がつけば輸送機の選定に該当するより遥かに多くのセールスを記録してますし、日本の航空会社大好きB767(多分TDA→JAS以外の全てのボーイング機運航会社が一度は使用しているはず)は早期警戒管制機のE-767や給油機KC-767にもなってますし。ってその2機種も空自が主要顧客ですか……。

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