21世紀に生き残った「巨大列車砲」の子孫 シベリア鉄道走る超重量列車は何を積んだ?

日本ではほとんどなじみのない「列車砲」なる兵器は、第2次世界大戦期、航空機の発達とともに世界中から姿を消しましたが、その子孫といえるものが21世紀のシベリア鉄道を走っていました。どんな兵器だったのでしょうか。

80cm列車砲よりも強力な「列車砲の子孫」

 ところが戦闘鉄道兵器は21世紀にも、80cm列車砲よりもはるかに大きな破壊力を秘めて生き残っていたのです。それがロシアのICBM(大陸間弾道ミサイル)「RT-23(西側呼称:SS-24)」を搭載した戦闘鉄道ミサイルコンプレクス「BZhRK」です。

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発射されるRT-23。車両を損傷しないよう発射筒からガス圧でミサイルを空中に放出してロケットモーターに点火するコールドローンチ方式(画像:ロシア国防省)。

 ICBMはロシアから直接アメリカ大陸を狙えるような戦略兵器ですが、地下発射施設(サイロ)に配置すると偵察衛星などで位置は暴露しやすく、先制攻撃を受けて破壊されてしまうリスクが高くなります。ではICBMを破壊されないように隠すにはどうすればよいのでしょうか。

 ロシアは広大な国土に総距離世界第3位の鉄道網(12万km)を有しており、その上へ貨物列車に偽装したICBMを走り回らせておけば見つかりにくいのではないか、というアイデアを思いつきます。

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1985年アメリカが公表した「ソ連の脅威」に掲載されたBZhRKの想像図。このころはまだ配備されていなかった(画像:アメリカ国防総省)。

 こうしてICBM搭載列車BZhRKは旧ソ連時代の1970年代から開発が始まり、1987(昭和62)年11月から実戦配備が始まりました。冷戦最盛期だった1985(昭和60)年のアメリカ国防総省が発行したレポート「ソ連の脅威」にはカラー想像図が掲載されましたが、実像はよく分かっていませんでした。

 BZhRKは三重連のDM62型ディーゼル機関車に牽引された17両編成で、燃料タンク車1両、ミサイル1基を収納したランチャーモジュール車が3両、このランチャー車に付属する支援車と指揮車が3両ずつ、統合指揮車、通信車、ディーゼル発電車、食料倉庫車、食堂車、兵員用客車2両という構成でした。28日間、補給無しで動くことができ、外見は冷凍貨物列車を偽装していました。

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BZhRKの編成を捉えたとされる写真で、2編成が写っている。

 搭載していた「RT-23」ICBMは最大射程1万kmから1万1000kmで、アメリカ大陸全てを射程内に収め、1基のミサイルには550キロトン核弾頭を10発装備していました。つまりBZhRK1編成に10発×3基=30発の核弾頭をひそませていたのです。広島に投下された原子爆弾は10キロトンでしたので、過去の列車砲とは別次元の火力です。

 1編成は動くミサイル基地として1個連隊としてまとめられ、3個連隊を集めて1個師団を編制しました。全部で3個師団が編制されて、ロシア西部地方のコストロマ近郊、中部地方クラスノヤルスク近郊、中西部地方ペルミ近郊に配備されたといわれます。

【写真】鉄道車両ではなくクルマに載せると…移動中の地上移動式ICBM発射機

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