バス業界 今度こそ再起なるか Go Toトラベル「東京追加」でどう変わる?

「東京除外」終了でようやく機能するお得商品たち

 実は、1席単位で座席管理する高速バスと、1部屋単位の宿泊とを旅行会社がセットにして販売するには、ITシステムに相応の準備が必要です。

 鉄道や航空と異なり、高速バスに関して対応できていたのは、一部のバス事業者系旅行会社などに限られます。また、JTBなど大手を除くと、多くの旅行会社は、全国の宿泊施設と契約し客室を在庫としてキープしていません。得意な地域に限って宿泊施設と契約し、システム連携して販売するとともに、それ以外は大手のプランを代売しているのです。

 したがって、高速バス事業者とも、その沿線の宿泊施設とも契約があって、システムが連携しており、かつ両者をセット販売できるようシステム改修済み、という条件が揃わなければ、旅行会社は「高速バス+宿泊」商品を販売することができません。

 バスタ新宿から中央道方面への高速バスは、それが実現していた数少ない例でした。しかし、「東京除外」によって、代表者の住所確認のため追加のシステム改修が必要となりました。新宿発ゆえに利用の多くが東京都民と考えられ、追加改修を見送らざるを得ませんでした。

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東京駅から御殿場プレミアム・アウトレットへ向かうジェイアールバステックの車両。8月でも続行便が出た日も(2020年8月、成定竜一撮影)。

 今回、「東京除外」が終了することで、山梨県の河口湖温泉、下部温泉、石和温泉や、長野県の昼神温泉(以上、販売元は京王観光)、上高地(同・アルピコ交通)、岐阜県の飛騨高山(同・濃飛乗合自動車)への「新宿発の高速バス+宿泊」商品が、キャンペーン対象となると見込まれます。宿泊費だけでなく、往復のバス運賃も含めたパッケージ料金全体の35%が割引となるのです。このほか、富士急トラベルが販売元となる日帰り商品の「高速バス+富士急ハイランドのフリーパス」も同じです。

 他の方面では、新宿から群馬県の草津温泉、伊香保温泉や、東京駅から群馬県の四万温泉や千葉県南房総方面への「高速バス+宿泊」(同・京王観光)も同様と見られます。

 なお、「東京都民の場合は割引率上乗せを検討」という報道もあります。その場合、システムの追加改修が必要となり、結果として「Go Toトラベル」対象商品が増えない、ということも懸念されます。

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