砂利鉄道から旅客路線へ ローカル情緒ある西武多摩川線 かつての名残はどこにある?
JR中央線の武蔵境駅からちょろっと延びるのは西武多摩川線です。単線であることや構内踏切の存在など、ローカル線情緒あるこの路線は、数少ない砂利運搬路線の生き残り。貨物輸送していた当時の名残がいくつか見られます。
西武鉄道からすると離れ小島のような多摩川線
なぜここに鉄道が延びているのか、一見不思議に感じる路線があります。東京でのその代表格が、西武多摩川線ではないでしょうか。
同線のターミナルはJR中央線の武蔵境駅(東京都武蔵野市)。特別快速は通過してしまうやや地味な駅です。終点の是政(これまさ)駅(同・府中市)までわずか8kmの行き止まり路線で、他の西武鉄道線との接続はなく、西武鉄道にとっては離れ小島のような路線です。沿線の主な施設といえば、多磨駅(同)近くに広がる都営多磨霊園と、競艇場前駅(同)近くにある多摩川ボートレース場くらいでしょう。
実際に乗ってみると、単線のため駅での交換(行き違い)風景や、改札口とホームとの間の構内踏切の存在など、ローカル線情緒を感じさせてくれます。白糸台駅(同)では、下車すると駅前に商店が一軒もない住宅地の光景が広がります。
先日、筆者(内田宗治:フリーライター)は妙に懐かしい光景に出会いました。車内で向かいのロングシートに座っている全員が新聞に目を通しているのです。スマホ全盛の時代、JR山手線や中央線ではもはや見かけない光景です。一瞬、夢を見ているのかと思ったほど。しかしよく見るとそのすべてが競艇面のあるスポーツ紙なので、納得しました。
西武多摩川線の歴史をたどると、その名のとおり多摩川と密接な関係があります。かつて多摩川の中流域から下流域は、川の砂利運搬を主目的とした鉄道路線が、なんと10路線以上も存在しました。貨物専用路線が多かったのですが、旅客輸送を行っていた路線もあります。
多摩川でももっと下流の武蔵小杉では旧河道を考慮せずにタワーマンションを建てたのではないかとTVで言っていた。