陸自オスプレイ「護衛」に課題 戦闘機も攻撃ヘリも力不足? 米海兵隊はどうしたか

試行錯誤する米海兵隊 陸自はどうする?

 なお装備(ハード)に関しては、別の航空機を用いるプランも検討されているようです。具体的な方法としては、KC-130空中給油輸送機に「HarvestHAWK」と呼ばれる武装キットを取り付けます。これを装着したKC-130は、AH-64「アパッチ」攻撃ヘリなどが搭載するAGM-114「ヘルファイア」空対地ミサイルやMk44「ブッシュマスターII」30mm機関砲などを装備できるようになるため、これらを用いることで、「オスプレイ」が最前線で離着陸する際の護衛が行えるようになるといいます。

 ほかにもUAV仕様の無人ティルトローター機に攻撃、監視、偵察の能力を持たせるプランもあります。ティルトローター機であれば、「オスプレイ」と同じように飛行できるため、発進から上空移動、最前線での離着陸まで一貫して護衛できるとしています。

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千葉県にある木更津駐屯地に配備された陸上自衛隊の「オスプレイ」(画像:アメリカ海兵隊)。

 このように、アメリカ海兵隊は様々な方法を模索していますが、自衛隊の場合はどうでしょう。陸上自衛隊のAH-1S「コブラ」対戦車ヘリコプターは航続距離が短く、武装の積載力も低いほか、エンジンが単発なので洋上飛行時の安全性にも不安が残ります。一方、AH-64D「アパッチ」戦闘ヘリコプターは機体自体の性能は問題ないものの、そもそも機数が10機強しかないため、その点で不安が残ります。

 いっそのこと、陸上自衛隊の「オスプレイ」は最前線には出ず、敵の脅威が低い場所で運用し護衛の必要をなしとするか、もしくは敵国が上陸し領土の一部を占領する前に、航空自衛隊や海上自衛隊と緊密な統合運用により空中強襲を行うかです。

 しかし海上自衛隊には海上自衛隊の、航空自衛隊には航空自衛隊の使命があり、有事の際に陸上自衛隊の「オスプレイ」を護衛するために人員や装備を割いてくれるのか、さらにいうと統合運用そのものができるのかという不安が残ります。

「ヘリボーン」ならぬ「オスプレイボーン」、その不安を払拭するためには常日頃から訓練をして信頼関係を醸成することが重要といえるのではないでしょうか。

【了】

【画像】空飛ぶ「オスプレイ」から陸自隊員がロープ1本で降りる瞬間

Writer: 斎藤大乗(元自衛官ライター/僧侶)

木更津駐屯地で5年間ヘリコプターと共に暮らした元自衛官。自衛官時代の経験を生かして雑誌やアニメに登場するヘリコプターの監修を行う。現在は実家のある日本最北の礼文島で僧侶をしながら記事を書いている。

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コメント

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2件のコメント

  1. 役不足の意味違わないですか?

  2. 「役不足」の使い方を間違えてませんか?