あと鉄道さえあれば… 武蔵村山モノレール延伸に熱視線 東京唯一「鉄道ない市」どう変化
東京都で唯一「鉄道がない市」武蔵村山市に、多摩都市モノレール延伸計画が進んでいます。モノレールが通る幹線道路、新青梅街道の拡張が進む一方で、バス路線は新青梅街道以外を走っている状況。モノレールは何を変えるのでしょうか。
鉄道ないのに人口7万 武蔵村山に待望のモノレール
東京の多摩地域を南北に結ぶ「多摩都市モノレール」を、さらに延伸する計画が進んでいます。現在の終点である上北台駅(東大和市)から北西へ、武蔵村山市を経てJR八高線の箱根ケ崎駅(瑞穂町)までの約7.2km、主に新青梅街道の中央分離帯上に高架線を建設する計画で、新青梅街道も拡張に向けて準備が進んでいます。
2020年12月現在、その完成見込みは2032年頃とされており、着工までまだまだ調整が必要ですが、2020年度には東京都の一般会計予算では初めて「多摩都市モノレールの整備」が計上されるなど、現段階での準備は順調と言えるでしょう。
このモノレールの初期計画は、90km以上にも及ぶ壮大なものでしたが、現在の開通区間は1998(平成10)年から順次開業した多摩センター(多摩市)~立川北(立川市)~上北台(東大和市)の16kmのみ。その後しばらく動きが見られなかったものの、2016年の交通政策審議会第198号における高評価や、東京都の小池百合子知事が都内の地域格差を解消する「多摩格差ゼロ」政策を掲げていることもあり、道路の改良とともに実を結んだ形です。
今回モノレールが延伸される武蔵村山市は、東京都内26市の中で唯一「鉄軌道がない街」として、渋滞やバスの遅延による交通の問題を抱え続けてきました。2016年に武蔵村山市が住民に行ったアンケートでも、「買い物」や「住環境」などほとんどの項目で「あと交通が不便」「これで鉄道があれば言うことなし」と、交通問題に触れる回答がきわめて多く、幅広い住環境の問題にモノレールの延伸計画が関わっているといえるでしょう。
とはいえ、武蔵村山市は市域から近い場所を複数の鉄道路線が通過しているため、鉄道網からまったく取り残されているわけではありません。ただ市境の近くにある駅はそれぞれ「路線バス網が少ない」「駐輪場が少ない」などで、最寄り駅として利用しにくい状況があります。
P4施設にはモノレールと同時完成などの条件をつければよかったのに。