あと鉄道さえあれば… 武蔵村山モノレール延伸に熱視線 東京唯一「鉄道ない市」どう変化
モノレール成功の鍵は「新青梅街道に人を集める」!
モノレールは、交通の不便を解消したとしても、それで「成功」とは限りません。今後は、モノレールの導入空間であり、新宿方面に通じる主要道路でもある「新青梅街道に人の流れを集めるか」が課題になってきそうです。
2020年現在の新青梅街道は、拡張にともなうセットバック(立ち退き)の関係で店舗の出店に制約があり、本腰を入れた開発には「新青梅街道まちづくり計画」に伴う制限の緩和などを待つしかありません。また新青梅街道を東西に貫くバスが存在せず、この沿道はバスの不便地域でもあります。
一方、新青梅街道の北側に並行する青梅街道には、東西を貫く都営バスの「梅70」系統(花小金井~青梅)も走っていますが、こちらは道が細く渋滞に悩まされています。現状、クルマの流れは新青梅街道にあるものの、人の流れは旧・青梅街道沿いなどにあるといえ、あたらしくモノレール沿線となる新青梅街道沿いの開発には、少し時間がかかるかもしれません。
「武蔵村山市」が誕生して半世紀が経ち、昭和40年代の人口急増を支えた「緑ヶ丘団地(旧都営村山団地)」「グリーンタウン」などの高層住宅街も、建て替えやリニューアルが相次いでいます。新陳代謝が進むこの街を、新青梅街道という東西の軸を中心として、「モノレールとバスでだいたい事が足りる」街に作り変える時期なのかもしれません。
ちなみに、武蔵村山には豊かな自然が残され、地粉を生かした「かてうどん」はさまざまなイベントで評判を呼びつつあります。モノレール開通後、武蔵村山を訪れた際は、「村山宿」の歴史と自然を感じつつ、地元の麦や根菜の旨味が詰まった一杯をいただきたいものです。
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Writer: 宮武和多哉(旅行・乗り物ライター)
香川県出身。鉄道・バス・駅弁など観察対象は多岐にわたり、レンタサイクルなどの二次交通や徒歩で街をまわって交通事情を探る。路線バスで日本縦断経験あり、通算1600系統に乗車、駅弁は2000食強を実食。ご当地料理を家庭に取り入れる「再現料理人」としてテレビ番組で国民的アイドルに料理を提供したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」など。
P4施設にはモノレールと同時完成などの条件をつければよかったのに。