「オスプレイ」って危ないの? 実はヘリよりも墜ちにくい機体 過去の事故原因と対策

ヒューマンエラーの排除が事故率低減の一番の近道

 そもそも「墜落しやすい機体」という印象の元になった、テスト飛行や運用試験中に起きた事故についても、徹底的に原因の洗い出しが行われ、対策が施されたことで、2度と同じような事故は起きないようになっていると言っても過言ではありません。

 たとえば過去、着陸中に右エンジンナセルに溜まっていた潤滑油が発火、併せて複合材のドライブシャフトも破損したことで左エンジンの動力が右側に伝えられず、1分足らずで墜落に至ったケースがありました。これについては、のちにエンジンナセルとドライブシャフトの構造を改めたことで、その後エンジン火災が起きた際には無事に着陸できています。

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群馬県の相馬原演習場で陸上自衛隊と共同訓練を行うアメリカ海兵隊のV-22「オスプレイ」(画像:陸上自衛隊)。

 2021年現在、V-22「オスプレイ」は作戦中の敵の攻撃による墜落を除くと、ほぼ事故の原因は「人的過失」に起因するものばかりです。ということは、事故率を0%に近づけるためには、常に適切な整備を怠らず、運用手順の見直しや操縦訓練の徹底によってヒューマンエラーを限りなく低減する。このことに尽きるのではないでしょうか。

 陸上自衛隊の航空科には、「旺盛な責任感と飽くなき向上心、探求心」という言葉があります。責任感を持ち、事故率低減の向上心、安全運用の探求を怠らなければV-22は「安全な航空機」になると筆者(斎藤大乗:元自衛官ライター/僧侶)は考えます。

【了】

【写真】「オスプレイ」の機内 操縦席は飛行機と一緒?

Writer: 斎藤大乗(元自衛官ライター/僧侶)

木更津駐屯地で5年間ヘリコプターと共に暮らした元自衛官。自衛官時代の経験を生かして雑誌やアニメに登場するヘリコプターの監修を行う。現在は実家のある日本最北の礼文島で僧侶をしながら記事を書いている。

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コメント

6件のコメント

  1. ヘリの事故はなくなりませんね。長野県の防災ヘリは高所救助の訓練の勇姿を見ただけに犠牲になった乗員ともども残念でなりません。

  2. オスプレイの安全性に関する記事、興味深く読ませて頂きました。ありがとうございます。疑問が生じたのですが、オスプレイはオートローテーションできるのでしょうか? 海兵隊の"V-22 Osprey Guidebook"の2011/2012年版の36ページに、「オスプレイはオートローテーションできないので危険ではないか」という疑念に対し海兵隊が「オートローテーションに頼らずとも1つのエンジンで飛行可能で、万が一の場合滑空できる」(意訳)と答える部分があります。また、2009年のアメリカ議会調査局による報告書"V-22 Osprey Tilt-Rotor Aircraft: Background and Issues for Congress"の40ページには"The inability of V-22 to safely autorotate has now been acknowledged by the manufacturer and the US Marine Corps"とあります。オスプレイは固定翼機モードとして飛ぶ時間が大半であり、また滑空が可能なことから、オートローテーション機能は無いと認識したのですが...

    • つまり言いたかったのは、オスプレイはオートローテーションを想定していないのではないか、ということです。オスプレイにはオートローテーションで安全に着陸する機能はなく(またその必要性も薄く)、よってオートローテーションできることが安全に寄与している、という記事の内容に疑念を呈したいというものです。
      青木謙和『徹底検証!V-22オスプレイ--ティルトローター方式の技術解説から性能、輸送能力、気になる安全性まで』(2012年、ソフトバンククリエイティブ株式会社)を参考にしました。

  3. この様な事実に則した客観的な記事を報道しない沖縄のメディアに沖縄県民はオスプレイは欠陥機体と洗脳されている。

  4. 民間転用して旅客機やヘリスキー用として乗れたらイメージアップになりそう。

    • 離島間の人や貨物の空輸にはティルトローター機いいと思う。平らな広い土地が無くてもヘリポート作れるだけの土地があればいいんだから。