ベンツ生まれ・アルファロメオ製エンジンでドイツ機を凌駕! イタリア名機マッキMC.202
第2次大戦時、イタリア空軍に空冷エンジン装備のMC.200型戦闘機が登場しましたが、配備直後から、性能向上著しいイギリス機やソ連機と大きな性能差が。そこでエンジンをドイツ製に変えたら高性能機に大変身し、「名機」が誕生しました。
エンジンに泣かされたイタリアの新鋭戦闘機
第2次世界大戦前、1920年代から1930年代のイタリアでは、複葉戦闘機の進化が続いたため、イギリスやフランスなどと比べて単葉戦闘機の登場に遅れをとってしまいました。そこで、イタリアは1936(昭和11)年に空軍機の近代化計画、通称「R」計画を発表、国内の航空機メーカーに対して新型機の開発を要求します。
この要求に対し、イタリアの名門メーカーであるマッキ社(現・アレーニア・アエルマッキ)は、水上エアレース機の設計において経験豊富なカストルディ技師を中心にMC.200型を開発します。なお、MCとは「マッキ=カストルディ」の略で、メーカー名と設計者の名を冠したものでした。
最大出力870馬力を発揮する空冷エンジンを搭載したMC.200には、稲妻または矢を意味する「サエッタ」という愛称が付けられ、1937(昭和12)年12月、初飛行に成功します。
しかしながら同機は、スピンしやすいという飛行時の問題を解決するため左側の主翼を延長したり、パイロットの視界確保を目的に密閉式ガラス風防を撤去したりといった改修作業に手間取り、実戦配備はイタリアが第2次世界大戦に参戦した1940(昭和15)年6月以後になってしまいました。
またMC.200は格闘戦性能こそ優れていたものの、基本設計が1930年代中頃であったことから、スピードや火力などの面で他国の戦闘機と比べて劣っていました。そのため、敵である米英ソなどが高性能な新型戦闘機を次々と出すようになると、より高性能な新型戦闘機が要望されるようになります。
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