ベンツ生まれ・アルファロメオ製エンジンでドイツ機を凌駕! イタリア名機マッキMC.202
高性能エンジンないなら同盟国からもらっちゃえ!
開発元のマッキ社では、すでに参戦直後の1940年夏ごろには、MC.200型の大改良プランが始まっていました。その改良計画の最大の目玉は、出力不足が指摘されていたフィアット製のA74RC38型空冷星型エンジン(870馬力)を、同盟国であるドイツのダイムラー・ベンツ社が開発した、強力なDB601A-1型液冷倒立V型エンジン(1175馬力)に換装する点で、それに伴い機体デザインも全面的に変更されます。
まずエンジンの形状変更に合わせて、カウリング形状も前面投影面積の少ない絞り込んだ流線型に改め、それに伴って胴体も重心バランスを最適化するため、全長を60cm延長して形状も見直しが図られました。そしてMC.200の初期型以降から開放式になっていた操縦席は完全密閉式となったことで、デザインは見違えるように洗練されたものに。こうして大幅に生まれ変わった新型機には、新たにMC.202型という型番が付与され、愛称も“電光”という意味の「フォルゴレ」が与えられたのです。
MC.202「フォルゴレ」は1940(昭和15)年8月に初飛行しましたが、エンジン出力が300馬力アップしたことに加え、空力も改善されたことで、最高速度は一挙に90km/h近く上がり、同じエンジンを積むドイツのメッサーシュミットBf109E-1戦闘機を凌ぐ600km/hを記録。さらに原型のMC.200「サエッタ」ゆずりの小回りの効く運動性能も持ち合わせていたことから、スピードを活かした一撃離脱と、運動性能を活かした格闘戦の双方に優れた高性能機に仕上がっていました。
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