「急行バス」は第一世代で「高速バス」は第二世代って? 社名でわかる高速バスの歴史
「高速バス専業」のしんどいところ、強いところ
第一世代で、経営形態が当時とおおむね変わっていないのは、岩手急行バス、東日本急行、九州急行バスなどですが、いずれも、収益性の高い短・中距離の昼行路線を運行している点が共通しています。第二世代でも、四国高速バスは、最初こそ長距離夜行の新宿線のみでしたが、明石海峡ルートの開業により、高松と京阪神を結ぶ昼行路線に進出したのを機に急成長しました。
ただし、いずれの専業者も、特定の高速バス路線に頼った「一本足」企業なので、今日のコロナ禍のように、高速バスの輸送人員が急減すると、経営に大きな打撃となります。第一世代、第二世代は大手私鉄などの資本力がバックにありますが、第三世代は個人資本の中小事業者も多く含まれます。多くの便が運休中で、国などの緊急支援策を受けていますが、逆にコロナ禍が収束し支援策が終わった後のことが心配です。
また、以前は「なんとしても高速バスに乗務したい」と考えるバス乗務員が専業者に転職する事例も多かったのですが、乗務員不足の時代を迎え、入社後に中・小型バスなどで経験を積むことができない高速バス専業者の場合、バス乗務員未経験者を採用することが困難で求人に苦労するという課題もあります。
ただ、専業であるため組織が小さく、その分、小回りが利くのが専業者の利点です。2020年5月、高松エクスプレスが、QRコードを活用し、万一、乗客から感染者が確認された場合、同一便の乗客に連絡される感染者追跡システムを業界で初導入したことなどは、専業者ならではの積極性の表れと言えるでしょう。ワクチンの接種が進みコロナ禍の収束も視野に入ってきた今、斬新なアイデアで業界の復活をリードしてくれることが期待されます。
【了】
Writer: 成定竜一(高速バスマーケティング研究所代表)
1972年兵庫県生まれ。早大商卒。楽天バスサービス取締役などを経て2011年、高速バスマーケティング研究所設立。全国のバス会社にコンサルティングを実施。国土交通省「バス事業のあり方検討会」委員など歴任。新聞、テレビなどでコメント多数。
東名が開通から数社が参入し、そのほとんどがしばらくして撤退したのは、途中の停留所が多くて遅かったからですかね?
最近の高速道路はそもそもバス停の設置が考慮されていませんよね。