和歌山「車庫ないのに"車庫前"バス停」消滅 実はラーメン業界の歴史変える一大画期?

「車庫前系」はいまいずこ?

 2021年現在の車庫前には、ラーメン専門店などなく、路面電車の車庫跡地もビルなどが建ち、その名残はほぼありません。今回のダイヤ改正では、朝1本だけ残っていたJR和歌山駅から車庫前までの区間便(26系統)も廃止に。ただ「高松」へ改称した後も、ここを経由するバスの系統は多く、朝方には上下線合わせて40本ものバスが通るほどで、バス通りとしての賑わいが消えることはなさそうです、

 もし車庫前系ラーメン発祥の地として、この場所を訪れた際は、市内各地の「車庫前系ラーメン」を巡るのも良いでしょう。市内の「車庫前系」としては、戦前から車庫前で営業し、現在は新内(あろち)町に店を構える「本家アロチ丸高中華そば」や、戦後創業で毛見に移転した「元車庫前丸宮中華そば本店」などが挙げられます。和歌山バスの路線網はことのほかキメ細かく、食べ歩きに使うはうって付けです。

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「元車庫前」を名乗る丸宮中華そば本店(宮武和多哉撮影)。

 一方、井出商店をはじめとした「井出系」のラーメンは、スープの味わいや豚骨の扱い方などが異なるため、こちらもぜひハシゴしたいもの。また、現在の車庫前近くにはラーメンの専門店はありませんが、バス停近くには長らく営業している中華料理屋さんがあります。そこでは穴場の絶品メニューとして、中華そばや焼き飯を堪能することができます。

 余裕があれば、和歌山港からフェリーで紀淡海峡を渡り、「徳島ラーメン」を食べに行くのも良いでしょう。和歌山と徳島は、両都市とも近くに大規模なハム工場があった関係で豚骨が安く流通していたという共通点もあり、またそのハム工場どうし(和歌山の鳥清ハムと徳島ハム)が合併し、現在の「日本ハム」となるなどの経済的な縁もあります。

徳島ラーメンの中でも「茶系」(「いのたに」など)の醤油豚骨スープは、見た目が和歌山ラーメンと似ています。定期航路でつながった和歌山と徳島、2つの街のラーメンは、もしかしたら不思議な縁を持っているのかもしれません。

【了】

【飯テロ注意】「車庫前系ラーメン」&和歌山ラーメンの名店を写真でチェック!

Writer: 宮武和多哉(旅行・乗り物ライター)

香川県出身。鉄道・バス・駅弁など観察対象は多岐にわたり、レンタサイクルなどの二次交通や徒歩で街をまわって交通事情を探る。路線バスで日本縦断経験あり、通算1600系統に乗車、駅弁は2000食強を実食。ご当地料理を家庭に取り入れる「再現料理人」としてテレビ番組で国民的アイドルに料理を提供したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」など。

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