なぜ箱型のクルマしか売れなくなった? オデッセイ終了で一時代に幕 覆った価値観

オデッセイは軽自動車も変えた?

 では、なぜ背の低い5ドアのミニバンは、1990年代から2000年代にかけて、あれほど人気を集め、そして消えてしまったのでしょうか。

 その理由のひとつは「ワンボックスカー」という名称にあるネガティブなイメージではないでしょうか。今では、ミニバンは普通のクルマとして認められていますが、1980年代までは違っていました。「ワンボックスカー」は、商用バンを意味しており、乗用車としては1段下というイメージで、それを忌避していた人も多かったのです。「多人数で乗れる3列シート車は欲しいけれど、商用バンは嫌」という気持ちです。

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初代セレナは商用車ベースで「バネットセレナ」として販売された。箱型ミニバンの草分け的存在のひとつ(画像:日産)。

 しかし、オデッセイは違いました。そもそも乗用車ベースですから、商用バンとは明らかに異なります。ミニバンだけど商用ではない。そのイメージの良さが大ヒットと数多くのフォロワー誕生の理由だったのではないでしょうか。

 しかし、1990年代から2010年代までの20年間にわたる背の低いミニバンと通常の箱型ミニバンの戦いにより、世間のミニバンに対する印象が変化しました。また、同時期に軽自動車では、「ワゴンR」の大ヒットを契機に、軽自動車にも背の高いクルマが大流行します。さらに、2011(平成23)年には箱型でスライドドアの軽自動車となるホンダの「N-BOX」が登場して大ヒットします。N-BOXは軽自動車ですが、ほとんどミニバンのようなスタイル。箱型ボディにスライドドアを忌避する風潮は、もはや消え失せたのです。

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