なぜ箱型のクルマしか売れなくなった? オデッセイ終了で一時代に幕 覆った価値観
オデッセイのヒットで生まれた数多くのフォロワー
そんなオデッセイのヒットに驚いたのはライバルでしょう。すぐにトヨタから、同じ5ドアのミニバン「イプサム」が登場します。さらに日産も同じく「プレサージュ」「バサラ」、マツダは「プレマシー」を追加します。どれも箱型ではなく、乗用車をベースにした背の低い5ドアのミニバンでした。
さらに2000(平成12)年にはホンダからも、オデッセイよりも小さな「ストリーム」が登場。トヨタも2003(平成15)年に、そのライバルとなる「ウィッシュ」を追加。ストリームとウィッシュは、オデッセイを超える大ヒット車となります。
こうした背の低い5ドアミニバンの新顔の登場は、トヨタ「マークXジオ」やスバル「エクシーガ」のように2000年代後半に入っても続きます。これら「背の低い5ドアの3列シートミニバン」という一大ジャンルの源流にあったのが、1994年の初代オデッセイだったというわけです。
2010年代に入ると一気にジャンル全体が衰退
ところが、ブームというのは移ろいやすいもの。2000年代終盤になると風向きは一変し、背の低いミニバン勢は、みるみる販売を減らしてゆき、2010年代にはどんどんと生産終了に追い込まれてしまいます。
元祖背の低いミニバンであったオデッセイも、2013(平成25)年に登場した5代目の現行型では、スライドドア付きの箱型ライクのミニバンに路線を変更。それでも以前のような人気を取り戻すことはできませんでした。
そして、気付けば2020年代に入ると背の低い5ドアのミニバンは、どこのメーカーからも発売されなくなり、残ったミニバンは、すべて箱型で左右にスライドドアを備えたもの、つまり1980年代のように「ワンボックスカー」ばかりとなっていたのです。なんという移り変わりの早さでしょう。
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