まるで「西鉄バス専用参道」 日本三大八幡の境内に通じる廃線跡の不思議な道 名残は随所に
バス専用道周辺の変わりゆく学生街 でも変わらない筥崎宮
バス専用道の沿線は筥崎宮の門前町としての性格だけでなく、九州大学のキャンパスが点在していたことから学生街としても知られていました。しかし2005(平成17)年から各キャンパスは西側に離れた「伊都キャンパス」への移転が進み、現在残っているのは馬出地区の大学病院と箱崎地区の文書館など一部施設のみ。学生街としての面影は徐々に薄れつつあります。
このため、バスがもっとも頻繁に運行されている9系統の終点「九大前」の名称が2020年、「箱崎3丁目」に変わりました、その行先表示幕を見て、「そんな終点あったっけ?」と驚く人もいるのだとか。
また2020年には、新型コロナウィルスの感染拡大の影響もあって土曜・日曜を中心に大幅な減便が行われ、路面電車のホーム上にひっきりなしにバスが進入していた景色も、徐々に過去のものとなりつつあります。
感染症の影響で「放生会」などの行事も開催できない状況が続いていますが、国指定重要文化財に指定されている筥崎宮・本殿の威容は変わりありません。境内には今年の春も同じようにシャクヤクの花が咲き乱れ、参道を横切る路線バスも変わらず運行されていました。バスと鳥居を合わせた写真を撮りに来る人も多いのだとか。
筥崎宮の西側に点在する九州大学のキャンパス跡地は、現在のところ空き地も多く、今後については公園・住宅などその用途が話し合われている最中です。今後10年、20年で大きな変化が予想されるバス専用道沿線の街並みを散歩してみるのも、良いのではないでしょうか。
※一部修正しました(8月12日17時15分)。
【了】
Writer: 宮武和多哉(旅行・乗り物ライター)
香川県出身。鉄道・バス・駅弁など観察対象は多岐にわたり、レンタサイクルなどの二次交通や徒歩で街をまわって交通事情を探る。路線バスで日本縦断経験あり、通算1600系統に乗車、駅弁は2000食強を実食。ご当地料理を家庭に取り入れる「再現料理人」としてテレビ番組で国民的アイドルに料理を提供したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」など。
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