使いみち超マルチ! イタリア戦闘機MC.200の知られざる奮闘inロシア ただし激烈に寒かった…

「返り討ちにしてやる」初撃墜を飾った意外な機体

 ロシア戦線に派遣されたイタリア空軍において、初の敵戦闘機の撃墜を記録した機体、それは記録映画の撮影用に改造されたMC.200型でした。これは主翼前縁に映画用カメラを取り付けた空軍航空映画部に所属する機体で、2機撃墜の記録は貴族出身で後に10機撃墜のエースとなるカルロ・マウリッツィオ・ルースポリ大尉の操縦によるものでした。

 前述した8月27日の空戦では、当初、ルースポリ大尉は友軍機の迎撃を記録撮影していたのですが、その最中にソ連のI-16型戦闘機2機の攻撃を受けます。大尉はカメラで重くなったMC.200型の機体を巧みに操縦して両機に逆襲、返り討ちにして撃墜したのです。

 この戦いで、ルースポリ大尉のMC.200型機も被弾して不時着したものの、このような反撃を行うことができたのは、MC.200型機が格闘戦を重視して設計されていたからこそといえるでしょう。

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雪原の飛行場で左右主翼下に50kg爆弾を搭載して給油を受ける出撃前のMC.200型「サエッタ」の戦闘爆撃機仕様。左翼端上にはサルバトール型落下傘が見える(吉川和篤所蔵)。

 こうして、広大な南部ロシア戦線に展開して戦っていたイタリア戦闘機隊でしたが、地上部隊を支援する爆撃機や地上攻撃機は、本国にほど近い地中海や北アフリカ戦線で手一杯だったため彼の地に回す余裕がなく、増援として送り込まれることはありませんでした。そこでC.S.I.R.の前線基地では、MC.200型を戦闘爆撃機に改造し、対地攻撃にも用いていました。

 これはMC.200型の左右主翼下に爆弾を吊り下げるためのラックを装着したもので、これにより同機は戦闘機ながら、制空だけでなく哨戒、護衛、偵察、そして対地支援任務まで、いわば「マルチプレーヤー」として働き続けたのです。

【写真】草原の飛行場に並ぶ複数のイタリア空軍MC.200

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