いつの間にか“人流抑制”になった首都高1000円増し再び 「ETCなら簡単にできる」の誤解
東京パラリンピックの開催にともない、オリンピック期間中と同じく首都高の1000円上乗せが実施されます。ただ、大会輸送の円滑化という目的は、いつの間にか「人流抑制の手段」と捉えられるように。技術的にも、そう単純な話ではありません。
知事会も政府へ要請「ロードプライシング」
かつてない勢いで感染が拡大する中、2021年8月20日(金)に開催された全国知事会「新型コロナウイルス緊急対策本部会議」は、政府に対して「例えば、ロードプライシングなどあらゆる思い切った措置も含め、速やかに検討すること」と、高速道路料金上乗せによる越境交通の抑制を緊急提言しました。先に菅義偉首相も緊急事態宣言などの対策に関する会見で、自動車の規制をテレワークと同様の人流抑制策として取り上げています。
東京2020大会輸送の円滑化を目的としていた首都高の1000円上乗せは、いつの間にか感染防止対策として語られるようになりました。
ETCの普及により高速道路料金の弾力的な運用は簡単。目前の東京パラリンピックでも1000円上乗せで交通量が抑制できるなら、全国に拡大すべき。そんな流れができていますが、今回の1000円上乗せも、実はETCだけで料金制御しているわけではないのです。
東京パラリンピック開催で、首都高速の東京都内区間を中心とした(非ETC車は全線一律)通行料金は8月24日から9月5日まで、再び1000円上乗せされます。対象となる車両は、二輪車を含む普通車以下の自家用車両。ここでいう普通車とは、高速道路料金の5車種区分の「普通車」です。ただし、営業回りなどで使われるライトバンなど4ナンバー小型貨物自動車や、緑ナンバーの二輪車は、事前の届け出不要で除外されます。
高速道路料金の割引は車種区分ごとに、その区分に当てはまる車両すべてを対象にしてきました。しかし、今回の1000円上乗せでは、事業用と自家用を見分けるなど、これまでになかった区分けで1000円を上乗せしています。なぜ可能になったのでしょうか。
システムに合わせて巻き添えありきの制度を作れば良い
役所は厳密な公平性を求めすぎ