「ホンダロケット」飛ぶ日は近い? 宇宙事業の全貌明らかに「既存事業と親和性ある」
月面で活動するロボットも自前で
月面における遠隔操作ロボットの運用については、ホンダならではといえるロボット(ロボティクス)技術がコアになるとしています。
会場ではバーチャルな移動を可能にする「アバターロボット(分身ロボ)」の展示説明も行われましたが、これが応用できるとのこと。ASIMO(アシモ)に代表されるホンダのロボット技術を活かした多指ハンドに、独自のAIサポート遠隔操縦機能、そして自動車などに搭載されている衝突軽減のための高応答トルク制御技術などを組み合わせ応用することで、遠隔操作ロボットを実現できるといいます。
ただ、宇宙においてリモート操作を行う場合、「通信遅延」が課題とのこと。アバターロボットを遠く離れた場所から遠隔操縦する際、通信遅延があるとうまく作業できません。この課題に対してホンダは、半自律マニピュレーション技術の共同研究をJAXAとスタートさせています。
そして最後に解説されたのが、ロケット開発についてでした。小川執行役員の説明では、ロケット開発の端緒となったのは、若手技術者の発案がキッカケだったといいます。二輪車や四輪車、飛行機やロボットなどさまざまな製品開発を通じて培った「流体・燃焼」技術や「誘導・制御」技術などといったコア技術を磨き上げ、統合すれば、再使用型の小型ロケットが造れるのではないかと若手技術者らが提案したことで、開発がスタートしたそう。
ロケットで小型・低軌道の人工衛星を打ち上げることができれば、コネクテッドサービスを始めとしたさまざまなサービスへの展開が可能になります。これらサービスの多くはホンダの既存事業と親和性が高いことから、開発にゴーサインが出たとのこと。ロケット開発は2019年末から始まっており、すでにエンジンの燃焼試験まで行っているとのことで、会場ではその試験の様子も動画で公開されました。
人類が地球からいなくなっても、ロボット君は紫外線や荷電粒子を浴びながら何万年も月面に…