日本の「ごうりゅう」プロジェクトとオーストラリア原潜騒動…どうしてこうなった?

フランス潜水艦キャンセル&アメリカ原潜導入発表という大立ち回りを見せたオーストラリア。当然、フランスは激怒している様子ですが、オーストラリアにもそれ相応の事情があるようです。その経緯と背景を紐解きます。

「ごうりゅう」でもキャンセルされていた? 切実な国内事情

 このオーストラリアの工業力に関する問題は、実は冒頭でふれた日本の「ごうりゅう」プロジェクトでもハードルとなりました。

 潜水艦の船体には高張力鋼が使われます。そうりゅう型に使用されているのは最新のNS110鋼と呼ばれるもので、数字の「110」は保証耐久値(kgf/mm2、キログラム重毎平方ミリメートル)を表し、大雑把にいうとNS110鋼は1平方ミリメートルあたり110kgまでの引っ張りに耐えられるということです。そしてこのNS110鋼が可能にするそうりゅう型の作戦可能深度は、約600mといわれます。

Large 20211007 01
呉に停泊する日本のそうりゅう型潜水艦(2019年12月18日、月刊PANZER編集部撮影)。

 NS110鋼は溶接などの加工が難しく、オーストラリアでは製造や加工ができません。スペックダウンしたNS80鋼に変更すると作戦可能深度は約300mとなり、ノックダウン建造した「ごうりゅう」はオリジナルそうりゅう型より性能が劣るものにならざるを得ません。

 今回、オーストラリアは原潜という選択をしましたが、同国は有数の天然ウラン産出国でありながら、一方で商業用原子力発電所を法律で禁止しています。つまり、原子力産業が未成熟のオーストラリアは今回のプロジェクトにおける潜水艦の国産化を諦めなければならず、工業力を理由として通常型潜水艦の国産化を断念するよりは国内を納得させやすいとオーストラリア政府が考えたのではないか、とも思案されます。

【画像】名前まで決めていたのに…キャンセルされたアタック級潜水艦

最新記事

コメント

1件のコメント

  1. オーストラリアの潜水艦計画は2040年代や50年代などの数字が出てきて先が見えないです(T_T)

    オーストラリアが原潜導入に本気ならつなぎの潜水艦はロサンゼルス級の程度の良い物をリースするのが良いのではないでしょうか(?_?)2040年まで借りては返しの自転車操業ですが(;o;)

記事ランキング

  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  3. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号
  4. 飛行中の「日の丸特別機」に粋なサプライズ! 天皇皇后両陛下を“最新ステルス戦闘機”がお出迎え
  5. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス