日本の洋式トイレは旧海軍の戦艦が始まり!?「艦内トイレ」から見た水洗便所の歴史

現代の生活空間にあたりまえのように存在する温水洗浄便座の洋式水洗トイレ、しかし、もともと日本のトイレに「洋式」はありませんでした。日本における清潔な洋式水洗トイレの始祖となったのは、軍艦の「艦内トイレ」だったのです。

古代からあった腰かけ式の洋式トイレ

 いまや日本の温水洗浄便座がついた洋式水洗トイレは、訪日外国人も驚くほどの進化をとげています。現在のような洋式水洗トイレが日本の一般家庭に広まったのは、1960年代に公団住宅がつくられるようになったのがきっかけといわれており、1970年代には生産数が和式トイレを超えるまでになりました。

 それ以前の日本では、汲み取り式の「和式トイレ」が主流だったわけですが、では、日本人が「腰かけ方式」の洋式水洗トイレを使い始めたのはいつからなのか。その歴史をたどると、明治初めの旧日本海軍の軍艦内のトイレにいきつきます。

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イギリスで建造された旧日本海軍の戦艦「三笠」。日露戦争前の1902年に就役している(画像:アメリカ海軍)。

 洋式トイレ自体は、すでに古代ギリシャ・ローマ時代には使われていました。ヨーロッパでは、個人用のトイレがイスやスツールに「おまる」で受ける形に進化した程度で、基本的には近代までその形はあまり変わっていませんでした。

 船のトイレに目を向けると、ヨーロッパの中世から近世の帆船に備え付けられたトイレも同様の形で、艦首や艦尾の張り出し部に木のベンチや箱のトイレがあり、そのまま海に落とす仕組みでした。なお、海が時化(しけ)ると波を被るので、そのときはバケツ(桶)に用を足すこともありました。

 日本に洋式トイレが持ち込まれたのは、江戸時代のオランダ商館あたりからです。近年の発掘調査では、陶製の「おまる」が見つかっています。幕末に開国した後は、横浜や神戸の外国人居留地でも洋式トイレが使われたと推察されます。

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