最繁忙期の特急料金「+200円」は控えめ? JRが導入、ダイナミックじゃない変動料金の意図
2022年4月からJR東日本、西日本、北海道の指定席特急料金に「最繁忙期」が新設されます。「閑散期」との料金差は最大600円。3社の狙いは何でしょうか。また変動料金は航空やホテル業界では一般的ですが、なぜ鉄道ではそうでないのでしょうか。
最大600円の差「最繁忙期」設定
JR東日本、JR西日本、JR北海道は、2022年4月1日乗車分から指定席特急料金に「最繁忙期」を新たに設定します。JR東日本の指定席料金を例に挙げると、現在の通常期(530円)、繁忙期(730円)、閑散期(330円)の区分に最繁忙期(930円)が加わり、最大600円の差が生まれることになります。
季節や曜日、時間ごとの需要に応じて価格を変動させる価格戦略「ダイナミックプライシング」は、以前から航空業界やホテル業界が積極的に導入していましたが、近年は高速バスや駐車場、レンタカー、あるいはレジャー施設、テーマパークなどにも広がっています。しかし鉄道の価格差は、同じ交通機関である航空機や高速バスと比べると小さく、「ダイナミック」という印象は受けません。
変動運賃の代表格である航空業界に目を向けると、今でこそコロナ禍で航空需要が大きく落ち込んでいるため見えにくくなっていますが、航空機は曜日ごと(月曜日から木曜日は安く、金曜日と土曜日が高い)、季節ごと(年末年始やGW、お盆は高い)、便ごと(午前中の便などは高く、早朝や深夜などは安い)に運賃が違います。
加えて予約時期によって割引率が大きく変わる事前購入割引があり、さらに発売開始後でも空席数に応じて随時、割引率が変わるなど、非常に複雑な運賃体系になっています。こうした運賃の変動はJAL(日本航空)やANA(全日空)など大手航空会社よりLCC(格安航空)の方が激しいという特徴もあります。鉄道もいずれはこのような運賃体系になっていくのでしょうか。
ダイナミックプライシングの歴史は、1970年代にアメリカの航空会社が開発した価格戦略「イールドマネジメント」にさかのぼるといわれています。当時、アメリカン航空やデルタ航空など大手航空会社は、新興格安航空会社(LCC)との価格競争で苦境に陥っていました。
一方でピークロードプライシング導入という話もあるが、一足飛びにそこに向かうには抵抗がある。そこで段階的に定期券の割引率をさげていく。将来的に定期券を無くすことができれば、その発行に要する手間を省き人的資源を他で活用できるのではないだろうか。中高生には新たに中人用ICカード運賃を設ける(たぶん役所への手続きは難しいのだろうが)。
「指定席特急料金は自由席特急料金と指定席料金の合計」じゃないと思うけどなあ。
営業規則では指定席特急料金から値引きしたものを自由席特急料金とするのが基本ですが、新幹線については記事にあるとおり、自由席特急料金の認可を受け、JRのさじ加減で上乗せしたものを指定席特急料金とします。
自由席特急料金からの嵩上げは常識的に考えて座席指定料金相当額程度ということで、自由席特急料金+座席指定料金=指定席特急料金という捉え方は間違いとも言い切れません。
そうして決めた指定席特急料金から値引きしたものが営業規則で定める自由席特急料金ということになります。勿論、単純な計算でないものもありますが。
認可される自由席特急料金額は上限であり、それから安くする分はJRの判断で決めてよいので、営業規則での自由席特急料金が同じとは限りません。