最繁忙期の特急料金「+200円」は控えめ? JRが導入、ダイナミックじゃない変動料金の意図

鉄道でもイールドマネジメントを… そこに法律の壁

 航空機に限りませんが、交通機関が提供する「座席」は翌日以降に持ち越して販売することができません。つまり席が余るということは販売機会を逃していることになります。価格を下げれば全ての座席を売ることができるかもしれませんが、そうすると収益が減ってしまいます。

Large 211018 fkcym 02

拡大画像

京王の高速バス車両。一部路線ではダイナミックプライシングを導入している(中島洋平撮影)。

 そこで「同じ区間の同じ座席は同一運賃」という先入観を捨て、過去の販売データなどを参考に、「安ければ売れる座席」と「高くても売れる座席」を段階ごとに分け、数量と価格をコントロールすることで輸送量当たりの収益を最大化しようとしました。この考えがイールドマネジメントです。

 重要なのは、この戦略を成立させるためには価格を柔軟に変更可能でなければならないということです。1970年代のアメリカ航空業界でイールドマネジメントが誕生した背景には運賃分野の規制緩和があり、日本で定着したのも2000(平成12)年の運賃自由化以降のことです。高速バスも近年の規制緩和で柔軟な運賃設定が可能になりました。

 しかし鉄道は事情が異なります。鉄道事業法は、運賃と新幹線自由席特急料金の上限額の設定・変更には国土交通大臣の許可が必要であると定めており、その金額は営業費に事業報酬を加えた総括原価を基準に決定するため、自由に設定することが出来ません。

 1997(平成9)年の規制緩和により、上限の範囲内であれば事前の届出で運賃・料金の変更(つまり割引)ができるようにはなりましたが、需要が大きい時期、列車の運賃・料金を上げることはできないため、航空業界のような価格戦略は難しいのが実態です。

 とはいえ空席のまま列車を走らせるより、割引してでも座席を埋めた方が収益は上がります。そこでJR東日本は「えきねっとトクだ値」、JR西日本は「スーパー早得きっぷ」など、割引を主体としたイールドマネジメントを展開しています。

【カレンダー】「最繁忙期」適用ビフォーアフター

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

3件のコメント

  1. 一方でピークロードプライシング導入という話もあるが、一足飛びにそこに向かうには抵抗がある。そこで段階的に定期券の割引率をさげていく。将来的に定期券を無くすことができれば、その発行に要する手間を省き人的資源を他で活用できるのではないだろうか。中高生には新たに中人用ICカード運賃を設ける(たぶん役所への手続きは難しいのだろうが)。

  2. 「指定席特急料金は自由席特急料金と指定席料金の合計」じゃないと思うけどなあ。

    • 営業規則では指定席特急料金から値引きしたものを自由席特急料金とするのが基本ですが、新幹線については記事にあるとおり、自由席特急料金の認可を受け、JRのさじ加減で上乗せしたものを指定席特急料金とします。
      自由席特急料金からの嵩上げは常識的に考えて座席指定料金相当額程度ということで、自由席特急料金+座席指定料金=指定席特急料金という捉え方は間違いとも言い切れません。
      そうして決めた指定席特急料金から値引きしたものが営業規則で定める自由席特急料金ということになります。勿論、単純な計算でないものもありますが。
      認可される自由席特急料金額は上限であり、それから安くする分はJRの判断で決めてよいので、営業規則での自由席特急料金が同じとは限りません。