実は日本の外交的勝利!? 史上初の軍縮条約「ワシントン海軍軍縮条約」で得た“実利”

11月11日はワシントン海軍軍縮条約の交渉が始まった日。1923年に発効した本条約は、米英日仏伊5か国がどの程度の海軍力を保持できるか決めたものですが、軍艦の性能や保有量などで多くの制限があり、のちの歴史に大きな影響を与えました。

日本やイギリスの条約すり抜けとは

 ワシントン海軍軍縮条約では主力艦について、その保有量を英米が50万トン、日本が30万トン、仏伊は17万5000トンとしました。また、後に日本の戦艦「陸奥」について保有を認めるか否かの議論が行われた結果、同艦を認める代わりに英米両国の保有量も増やすということになり、英米が52万5000トン、日本が31万5000トンに変更されています(仏伊はそのまま17万5000トン)。

 さらに主力艦の新規建造は10年間禁止。艦齢20年以上なら、代艦建造も許されますが、その場合でも個艦の排水量は最大で3万5000トン、搭載できる主砲の口径(大きさ)は40.6cmまでと制限されました。日本は条約前、長門型戦艦に41cm砲を搭載していたので、主砲の正式名称を「四十五口径三年式四十一糎(センチ)砲」から、同四十糎砲に改めています。とはいえ、実際は41cm砲のままでしたので、条約制限をわずかに超過していたといえるでしょう。

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イギリス海軍の戦艦「レナウン」。ワシントン海軍軍縮条約の特例措置で防御力が強化されている(画像:アメリカ海軍)。

 加えて、主力艦の改装は厳しく制限されました。主砲と舷側装甲の強化は禁止で、行えるのは水平および水中防御の強化のみ。このような改修による排水量の増加は3000トンまで認められました。興味深いのは、主力艦の性能で劣るイタリアとフランスに関しては、主砲口径や装甲の強化が許されていたことです。

 ただ、両国は条約発効の5年前に終わったばかりの第1次世界大戦で疲弊しきっていたことから、日本、アメリカ、イギリスの3か国にはない有利な規定を使うことはありませんでした。

 なお、条約の審議中、イギリスは、自国が保有する巡洋戦艦「レナウン」の舷側装甲を152mmから229mmに強化することを特例で認めてもらっています。これは同艦の垂直防御が極めて弱かったことを理由にした、いわば均衡措置といえるものでしたが、日本が保有する金剛型巡洋戦艦の舷側装甲は203mmだったので、これによって垂直防御で逆転されています。ある意味、これはイギリスの巧みな外交術を感じさせるエピソードといえるでしょう。

【写真】長門型戦艦と並び称される米英の戦艦たち

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