実は日本の外交的勝利!? 史上初の軍縮条約「ワシントン海軍軍縮条約」で得た“実利”
日本vs英米 戦艦「陸奥」の保有で対立
ワシントン条約制定において大きく紛糾したのは、日本の長門型戦艦の2番艦「陸奥」を認めるか否かについてでした。「陸奥」は41cm砲8門の攻撃力、26.5ノット(約49.1km/h)の高速力を有する「高速戦艦」(日本海軍は長門型の速力を機密にしていましたが、イギリスやアメリカは概ね把握していました)であり、当時としては極めて有力な主力艦だったからです。
イギリスやアメリカは、「陸奥」について「未完成艦なので廃艦にすべき」と主張しました。なお当時、「陸奥」は外見こそほぼ完成に近いものでしたが、装備する装甲が焼き入れをしていない防御力不十分なものであるなど、中身は未完成とも言える状態でした。
日本は交渉の末「陸奥」の保有をイギリスとアメリカに認めさせますが、代償として、40.6cm砲を搭載したネルソン級戦艦2隻(イギリス)、コロラド級戦艦2隻(アメリカ)の保有を認めることになりました。
40.6cm砲搭載の戦艦は、当初の想定では日本の「長門」と、アメリカの「メリーランド」だけになる予定であったため、「陸奥」を認可したことで、各国とも条約上最大の主砲を備えた最新鋭戦艦を数多く保有できるようになったと言えるでしょう。
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