時代遅れでも“名機” 史上最強の複葉機イタリア「CR.42」エース続々輩出の輝かしい戦果

東アフリカで底力発揮した複葉機

 それでもフィアットCR.32型戦闘機をベースにした試作機は、1938(昭和13)年5月に初飛行にこぎつけます。新型機は、840馬力の空冷エンジンを搭載して430km/hの最高速度を発揮、運動性能とそれに伴う空戦能力についても高評価を受けたことで、空軍に採用されます。

 本機には、新たにCR.42型として型番が降られ、ハヤブサを意味する「ファルコ」という愛称も付けられ、直ちに配備が始まりました。しかし、すでにイタリア以外の主要国では軍用機については複葉機からより高性能な単葉機への切り替えが進んでおり、イタリアも例外ではありませんでした。

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1940年後半のバレンツ基地、独立第412飛行隊のヴィシンティーニ中尉のCR.42型。部隊マークとして第4航空団由来の赤い馬が、黒いアフリカ大陸の上に描かれている(吉川和篤作画)。

 当初はイタリア空軍にとって、フィアットCR.42型の採用は、高性能な次世代単葉戦闘機であるマッキMC.200型やフィアットG.50型などが本格配備されるまでの、いわば「つなぎ」としての意味合いが強いものでした。しかし、ふたを開けてみると、イタリアが第2次世界大戦に参戦した1940(昭和16)年6月10日時点では、イタリア空軍が保有する戦闘機のうち、実に40%にも上る300機(うち稼働機は220機)が本機で占められており、つなぎと考えていた“旧式機”が主力を担っているような状況でした。

 結果、各国の主力戦闘機と比べた場合、明らかに「時代遅れの旧式機」といえるようなCR.42が、最前線で用いられることになります。しかし、イギリスと空軍戦力が拮抗していた東アフリカ戦線では、高い整備性や運用のしやすさなどから、複葉機ながらもCR.42型は勇戦。しかも操縦しやすく格闘戦の性能に優れていたため、CR.42型は、イタリア空軍のパイロット達の腕を上げるステップアップ機としての役割も果たしたのでした。

【真っ黒な機体が特徴】フィアットCR.42の夜間戦闘機タイプ

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