エンジン倍で性能倍! とはならなかったけど結果を残せたレシプロ双発戦闘機5選

航空機において、同じエンジンなら単発より双発の方がメリットも大きそう、ということで、WW2直前の航空先進国では「双発万能戦闘機」なる考えが脚光を浴びます。しかし実際には、そうそう単純なお話ではありませんでした。

「万能戦闘機」でなくとも使えた双発戦闘機

 第2次世界大戦直前、いまだ戦闘機運用の定石が定まっていない時代のお話です。世界の主要な航空機生産国では、いわゆる爆撃機の航続距離が伸びるにつれ、単発単座戦闘機よりも燃料や武装を多く積める双発戦闘機に大きな期待が寄せられるようになりました。長距離を飛ぶ爆撃機を護衛でき、2基のエンジンによる大出力で単発機を上回る高速を発揮し、機体のスペースにも余裕ができるため20mmや30mmなどより強力な機関砲を搭載できるからです。大戦直前にはこうした双発機に、爆撃機護衛だけではなく通常の空戦や基地防衛、偵察などまでさせようという、万能戦闘機ともいえる機体が各国で構想されました。

 しかしながら大戦中、その期待は過剰だったことが証明されてしまいます。エンジンの進歩で単発単座戦闘機がより高速で機動性に富むようになり、双発機が優位性を確保できず鈍重で大きな的になってしまったからです。

 とはいえ一部の双発機は、それでも活用される場を得ました。そうした双発機から、実に役に立ったといえる5つを見ていきます。

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P-38「ライトニング」戦闘機。写真の機体は1992年にグリーンランドの氷の下から発掘されたもの(画像:アメリカ空軍)。

双胴の悪魔 P-38「ライトニング」

 アメリカ軍のP-38「ライトニング」は単座の双発戦闘機で、「第2次世界大戦中に最も成功した双発機」という問いに対し、必ず名前の挙がる機でしょう。

 太平洋戦線に現れた1942(昭和17)年末の段階では、零戦や「隼」など日本陸海軍機に対して苦戦していましたが、ターボ・チャージャー搭載のエンジンを活かした高高度域からの急降下による一撃離脱戦法を重視するようになると、機首に集中配置されている12.7mm機関銃4挺と20mm機関砲1門の破壊力を遺憾なく発揮するようになり、その立場は逆転しました。

 日本では、前線を視察中の山本五十六海軍大将搭乗機がブーゲンビル島上空で撃墜された「海軍甲事件」における、襲撃してきたアメリカ軍機としても有名ですね。実はアメリカ軍史上、2021年現在でトップエースのリチャード・ボング(40機撃墜)と、2位のトーマス・ブキャナン・マクガイア・ジュニア(38機撃墜)がおもに搭乗していたのも同機でした。

 欧州戦線では双発機の航続距離の長さを活かし、ドイツ本土爆撃機の護衛機として、新鋭機であるP-47「サンダーボルト」やP-51「マスタング」の数が揃うまでB-17を守り、「双胴の悪魔」と呼ばれ恐れられました。

【写真】ドイツ空軍Bf110 シートからの眺め

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コメント

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2件のコメント

  1. > 土井武夫技師を主務者としてエンジンを実績のあるハ25(海軍の栄エンジンと同型)に換装した結果、1942(昭和17)年に制式採用となったのが同機です。

    ハ102は何処へいった?

  2. そうですな。キ45試作機はハ25への換装で使えそうなレベルになったけど、結局実質別物のキ45改に計画は移行して、発動機はハ102になっていますな。
    二式複戦として採用されたのはこのキ45改の方。