箱根駅伝“踏切”に注目! 電車止めてもランナー止めない「特別措置」の職人技 小涌谷で

かつては蒲田でも見られた光景

 係員の動静を観察してみます。復路の場合はスタートしてすぐに踏切を通過するため、時間も読みやすいです。一方の往路は先頭と最後尾でランナーが大きく離れるうえ、ランナーの“駆け引き”により踏切通過時刻はまちまちなので、係員は常に気を配ります。

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東洋大学の柏原竜二選手。1年生の時から5区を任されて新記録を樹立。「山の神」と呼ばれた(2010年1月、小川裕夫撮影)。

 先頭のランナーが小涌谷踏切へと近づいてきたら電車を止めますが、最後尾が通過するまでずっと電車を待たせることはできません。電車もスムーズに運行させるべく、ランナーの間隙を縫い通過させているのです。

 係員が判断ミスをすれば大会に大きな支障が出てしまいます。踏切脇に立つ係員の責任は重大で、熟練の判断が要求されるといえそうです。

 箱根駅伝で名所となる踏切は、かつては小涌谷のほかにも京急蒲田駅(東京都大田区)の近くにもありました。こちらも駅伝開催時には小涌谷踏切と同様の措置がとられていましたが、線路が高架化されたことで踏切は廃止。現在、小涌谷踏切のような光景は見られません。

【了】

【ランナーを止めるな】小涌谷踏切での係員の様子を見る

Writer: 小川裕夫(フリーランスライター・カメラマン)

フリーランスライター・カメラマン。1977年、静岡市生まれ。行政誌編集者を経てフリーに。官邸で実施される首相会見には、唯一のフリーランスカメラマンとしても参加。著書『踏切天国』(秀和システム)、『渋沢栄一と鉄道』(天夢人)、『東京王』(ぶんか社)、『私鉄特急の謎』(イースト新書Q)など。

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