海に革命「無人運航船」で日本はどう変わる 小型 大型 高速…もう現実に

「世界初」 まだまだ続く実証実験

 小型貨物では、宅配便など小口輸送における海上輸送の拡大が見込まれ、自動運転トラックやドローンと連携した無人輸送の進展も期待できます。離島航路ではダイヤを組みやすくなり、住民の足としてより活用されるようになるだけでなく、観光客がすぐ船に乗って移動できる環境を整備することで、海上旅客利用者の増加にもつなげられます。

 また、海難事故の原因の約7割から8割がヒューマンエラーといわれており、これまで船員が担っていた見張りの役割を機械が肩代わりし、将来的には自動化することで、事故の減少につなげようという試みも進められています。

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「それいゆ」に搭載された離着岸自動操船システムモニター(左)と操船状況モニター(画像:三菱造船)。

 海野常務理事は「無人運航船の普及を通じ、日本に物流革命を起こすとともに、海運国日本の実力を世界に示す。日本の物流、海事業界の活性化につなげていきたい」と語っていました。

 今後は2月26日から3月1日にかけて日本郵船グループの日本海洋科学を代表企業とするコンソーシアム「DFFAS(Designing the Future of Full Autonomous Ship)」が東京湾~伊勢湾間でコンテナ船「すざく」を使用した実証実験を、3月14日にITBookホールディングスを代表企業とするコンソーシアムが群馬県の八ッ場あがつま湖(八ッ場ダム)で水陸両用船「山鳥天狗号」を使用した実証実験を行います。前者は東京湾という多くの船が行きかう“輻輳海域”で、後者は水陸で連続した自動運航(運転)を行うもので、いずれも世界初の試みです。

【了】

Writer: 深水千翔(海事ライター)

1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。

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