ああ懐かしい「食堂車」舞台の映画&ドラマ 昭和の古き良き時代? いや平成にも
名作映画の中の食堂車
より多くの人が知る名作映画の中にも食堂車が登場します。
1963(昭和38)年に公開された世界のクロサワ・黒澤 明監督の『天国と地獄』(東宝)では、『特急にっぽん』と同じく特急「こだま」のビュッフェが出てくるのですが、こちらはいたってシリアスな展開。誘拐犯から身代金受け渡しのために「こだま」へ乗るよう指示された会社重役(三船敏郎)が、ビュッフェ内の電話室に連絡を受けるという緊迫した場面が展開されます。
犯人を確保したい刑事たちは、一般客のふりをしてビュッフェでコーヒーを頼んだりしながら張り込みます。普通の座席車ならウロウロしている人達がいたら怪しまれるはずですが、様々な人が集うビュッフェなら警戒されにくいという、格好のシチュエーションです。
1974(昭和49)年に公開された野村芳太郎監督の『砂の器』(松竹)では、丹波哲郎と森田健作演じる2人の刑事が、出張捜査の帰りの列車で食堂車を利用していました。映画の中では上野と秋田を結ぶ急行「鳥海」の設定で、実際には違う列車が使われたようですが、かつての食堂車の様子は充分に伝わってきます。
捜査で思うような成果が上がらず意気消沈の刑事たち。森田健作刑事が駅弁を取り出すと、丹波哲郎刑事が「隣は食堂車らしいな。ビールでも一杯飲もうか。くよくよしたってしかたない、俺がおごるよ」と誘うのです。座席以外に場所を移して気分を変えられるのも、食堂車のいいところかもしれません。ただ2人は食堂車でビールを飲んだあと、食事を頼まず、その場で駅弁を食べ始めます。映画の演出かはわかりませが、神経の図太い2人のようです。
東海道山陽新幹線では、食堂車で毎回カレーライスを食べていました。
当時は、貧乏でカレーライスしか選択肢がなかったのですが、二階建ての食堂車から見る車窓の風景は最高でしたね。