ウクライナを守る泥 日本を守る砂?「天然の障害」防衛にどう生かす ロシア軍は足取られ

キャタピラ駆動の戦闘車両でも安心できないわけ

 タイヤ駆動の装輪車が砂浜ではまってしまうのは理解しやすいでしょう。そのために悪路走破性を重視した戦車などは装軌式、いわゆるキャタピラ駆動の足回りになっているといえます。ブルドーザーや油圧ショベルなどの重機も、不整地などで使うことを鑑みて同じような足回りになっています。

 ただ、それでも過信は禁物。やはり過去の訓練において陸上自衛隊の水陸機動団が保有する水陸両用車AAV7が別の砂浜で一時的にスタックしたことがありました。それは2020年に行われた北部方面隊演習でのことです。

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静岡県の今沢海浜訓練場における上陸訓練で、砂浜にタイヤがはまり行動不能に陥ったアメリカ海兵隊の装輪装甲車JLTV(武若雅哉撮影)。

 北海道北部の日本海に面した天塩町に天塩訓練場という場所があります。ここは前出の今沢海浜訓練場と同じように砂浜があるところで、94式水際地雷敷設装置などの訓練を行っています。

 ここで着上陸訓練の一環として水陸機動団のAAV7が、沖合から水上航行してきたのち訓練場の砂浜に上陸、指定された通路を曲がる際に“たまたま”脇に落ちていた漁網を踏んでしまったのです。この漁網が古く劣化した物であれば良かったのですが、それなりに新しい物だったのでしょう。回転する履帯に巻き付いた漁網は、一時的にAAV7の動きを止めてしまいました。

 その後、AAV7は前後進を繰り返してなんとか漁網を断ち切ることに成功、無事に訓練に復帰しています。

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