庭先に放置の敵戦車は頂戴してOK? 陸と海でも異なる戦時の敵物品入手に関するルール

戦車はOK 缶詰はグレー…「戦利品」のラインはどこに?

 この戦利品に関して、一般に敵が放棄した兵器や装備などがこれに含まれることは間違いありませんが、たとえば食糧品といったそのほかの公有財産が含まれるかどうかは、学説上の意見は必ずしも一致していないようです。ただし、一般に私有財産に関しては、敵兵士個人の武器や弾薬などを除き、これを没収することは原則として許されません。

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「戦利品」に食糧が含まれるかは見解が分かれる。写真は自衛隊の戦闘糧食II型(画像:自衛隊)。

 また、戦利品はあくまでもそれを捕獲した兵士が所属する国家などに属するものとなり、兵士個人がそれを自分のものとして自由に処分できるわけではありません。

 たとえば、ベトナム戦争中の1968(昭和43)年に南ベトナムで軍事作戦に従事していたアメリカ軍の兵士が、洞窟を捜索中に15万ドルもの大金を発見した際には、後の裁判でこれは兵士個人ではなくアメリカ合衆国政府に属するものと判示されています。

 一方で、そうした戦利品以外の公有および私有財産を個人が私的目的で奪う行為は「掠奪(pillage)」と呼ばれ、これは違法行為にあたります。そのため、たとえば兵士が記念品として敵の装備などを密かに持ち帰ろうとすることなどは禁止されています。

 また、その禁止の範囲は兵士だけではなく市民などの文民にも及ぶとされており、たとえば戦闘に際して自宅の近くに放棄された敵の車両などを私的に流用することは禁止されると考えられます。

元は日本海海戦のろ獲艦 旧日本海軍戦艦「石見」

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コメント

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1件のコメント

  1. 食糧に関しては禁止云々言う以前に現場ではとにかく必要なんだから、現場でそんなこと考えている余裕はないでしょう。