壮観! 山手線を走った103系「5色混合編成」 たった2日間だけの特別運用なぜ?
山手線でかつて、103系電車が「5色混成」で走ったことがあります。国鉄時代にも常磐快速線や武蔵野線などで、他線から転属してきた車両を工場で塗り替える前に混色編成が走ったことがありますが、山手線の5色混成は「あえて」でした。
「ウグイス色の山手線」 にズラリと「他の色」も連結
山手線の色といえば「ウグイス」(黄緑色)です。国鉄時代の1963(昭和38)年12月に103系電車がウグイス色で投入され、それ以降、205系、E231系500番台、E235系0番台と、帯色にウグイス色を継承し、山手線のラインカラーとして定着しています。
そんな山手線になんともカラフルな電車が走りました。それが「おもしろ電車」です。
「おもしろ電車」はJR東日本の発足を記念して1987(昭和62)年4月11日と12日に運転されたもので、車両は103系が使われました。斬新だったのは車体色が「ウグイス」「カナリアイエロー」(黄色、かつての101系山手線の車体色)に加え、「オレンジバーミリオン」(朱色)、「エメラルドグリーン」(青緑色)、「スカイブルー」(水色)の5色だったことです。
国鉄時代にも、常磐快速線や武蔵野線、南武線、奈良線などでは他線から転属してきた103系を塗り替えずに組み込んで混色編成になったことがあります。当時は検査で車両工場に入場する際に塗り替えることが多かったためで、その路線のカラーではない車両には、誤乗を防止するために路線名を標記したステッカーをドア上に貼っていました(先頭車は前面にも貼り付け)。
それでも混色編成は2色や3色が多く、常磐快速線や武蔵野線、横浜線で見ることができた4色が最多です。5色の混色編成は「おもしろ電車」が初めてといっていいでしょう。
「おもしろ電車」の103系は「ウグイス」のほか、南武線用の「カナリアイエロー」、武蔵野線用の「オレンジバーミリオン」、常磐快速線用の「エメラルドグリーン」、京浜東北・根岸線用の「スカイブルー」を集めたもので、各色2両を組み込んだ10両編成2本を用意。日中の山手線を外回りと内回りでそれぞれ走行しました。4月11日は「スカイブルー」が先頭、12日は「ウグイス」が先頭です。運転後には「おもしろ電車」運転記念のオレンジカードも発売されています。
JR東日本では、のちに工場で車体を塗り替えてから車両を転属させることが多くなったため、103系の混色編成を見ることはできなくなりました。なお、JR西日本では大阪環状線や阪和線などで103系の混色編成が近年まで走ったことがあります。
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