なぜ戦車砲内側はツルツルなのか ついに英戦車もライフル砲廃止 銃とは逆の進化の歴史

19世紀に「ライフリング」が実用化されると、銃も砲もこぞってこれを採用し、その命中率は飛躍的に高まりました。しかし戦車砲については21世紀現在、このライフリングが刻まれていない滑腔砲が主流です。先祖返りの経緯を追います。

「120mm L44」が大ヒット! 西側の戦車はほとんどコレに

 当時、アメリカなどNATOに属する西側陣営の標準的な戦車砲は、イギリス製の105mm戦車砲「ロイヤル・オードナンス L7」というライフル砲でした。

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ライフリングが刻まれた「ロイヤル・オードナンス L7」105mm戦車砲のカットモデル(画像:baku13、CC BY-SA 3.0〈https://bit.ly/3vZxR10〉、via Wikimedia Commons)。

 APFSDS自体はライフル砲でも使えますが、ライフリングがある砲から発射すると回転の影響で威力が減衰してしまうという弱点があり、西側陣営では1960年代にこれを克服する新たな戦車と戦車砲の開発を、アメリカと西ドイツが共同で着手することになります。

 この開発計画は両国の設計方針の不一致などで頓挫しますが、この際、西ドイツが搭載を主張した120mm滑腔砲の案を元にして、後に西側の標準滑腔砲となったラインメタル製の「120mm L44」が開発されます。これはAPFSDSのほかに、歩兵用の対戦車ロケット砲弾にも見られる成形炸薬弾(多目的対戦車榴弾)なども使用できます。

 120mm L44砲を装備する戦車として1979(昭和54)年に配備を開始した西ドイツの「レオパルト2」は、戦車が動いている状態での射撃「行進間射撃」でも120mmという大口径でありながら高い命中精度を誇りました。また、アメリカ軍のM1「エイブラムス」戦車は、当初105mm戦車砲で制式化されたものの、これに代わって120mm L44砲をライセンス生産した「M256」が搭載されるようになります。

 このように、最終的には西側のほとんどの国の戦車が120mm L44砲を搭載しました。日本の陸上自衛隊が使用している90式戦車の砲も同様のもので、10式戦車に採用されている10式戦車砲に関しては国産ですが、やはり120mm L44を参考にしたものです。

 滑腔砲の弱点として、装弾筒と砲身に隙間があると弾道が安定しないというものがありましたが、それも技術発展により、砲身の隙間がほぼない状態で発射できるようになりました。こうしたことから、新たに画期的な技術が登場するまで、「戦車砲は滑腔砲」という時代は続くと思われます。

【了】

【写真】想像以上にユニオンジャックな「チャレンジャー3」

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ミリタリー、芸能、グルメ、自動車、歴史、映画、テレビ、健康ネタなどなど、女性向けコスメ以外は基本やるなんでも屋ライター。一応、得意分野はホビー、アニメ、ゲームなどのサブカルネタ。

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コメント

1件のコメント

  1. 戦車がライフル砲を捨てスムーズボアにした為、汎用性が減り自ら活躍の場所を減らし、配備数量が激減した。汎用性の高い重装甲、重武装のIFVが主力と成ってしまい、新規開発は殆ど無く成ってしまった。

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