「赤くない東急8500系」は何者? 最後の1本となった“青い”編成 異彩を放った生涯
PR電車としての生涯、最後まで
1991(平成3)年には、前後の先頭車両の前面と側面に、しゃぼん玉の絵柄が追加されました。ただ2000(平成12)年、沿線に商業施設「グランベリーモール」(現・グランベリーパーク、東京都町田市)が開業すると、一時期はその広告ヘッドマークを掲出し、「グランベリーモール」のPR電車として運行されました。
2002(平成14)年、東急ケーブルテレビジョンの広告宣伝が終了します。8637編成は青帯としゃぼん玉のみの装飾となりましたが、翌2003(平成15)年4月、今度は東急多摩田園都市開発50周年を記念すべくそのPR電車となります。
「東急多摩田園都市・開発50周年記念電車」と称し、車体には関連するヘッドマークやステッカーが掲出されました。しかしPR電車は2週間の運行にとどまり、以降は再び青帯としゃぼん玉のみの装飾になります。
そのような中、2010(平成22)年までにしゃぼん玉は完全に撤去されます。8637編成は帯だけが青いものの、ほかの8500系と同じような位置づけになりました。PR電車として走ったのも過去のことになりつつあり、このまま新型車両と置き換えかと思われましたが、2018年に転機が訪れます。
3月、側面のドアが赤、黄、青、緑の4色に塗られます。まるで「きになる電車」などのような目を引く姿でしたが、ここに15年ぶりとなるPR電車が復活したのです。翌4月、複合文化施設「Bunkamura」の広告が車内に掲示され、前面にもヘッドマークが掲出されました。
8637編成は2022年4月20日から、前面に「ありがとう8500系」のヘッドマークを掲出しています。ただし「Bunkamura」の車内広告は継続中です。「赤くない」8500系としては、かつて伊豆急カラーの編成も存在しましたが、35年にわたって青色で過ごした8637編成は、異彩を放ち続けた生涯だといえるのではないでしょうか。
【了】
東急8500系も先日8631F(8000系15次車)が離脱し、残りは8637F(同系18次車)を残すのみとなりました。8000系グループで唯一最後まで残ったのがこの8637Fで、同編成車は田園都市線・半蔵門線輸送力増強用に増備され、投入時は赤帯で運用を開始し後に東急CATV号(後のイッツコム)としてリニューアルされ、その後2002年から青帯のまま使われ、2018年にBunkamura号として復活しました。しかしその頃既に新型2020系の置き換えが始まり8500系は徐々に離脱し、同系の活躍も残り僅かとなりました。
50年前の営団地下鉄5000系にそっくりだった。
>最新型2020系電車のグループが運行開始すると、ロゴを除き車体から赤色は消滅。
池上・多摩川線用の7000系デビューの時点で、赤い色は消滅していますが…。