明石海峡大橋の「新幹線計画」が幻に終わったワケ 今も残る「謎の巨大空間」
違和感がある明石海峡大橋の構造
常識で考えれば、吊り橋の桁は軽い方が有利で、となれば桁の厚さは薄いに越したことはありません。もちろん例外はありますが、世界一となったチャナッカレ1915橋はもちろん、世界3位の「武漢楊泗港(ようしこう)長江大橋」(2019年完成、中央支間1700m)や同4位の「西澳門(せいおうもん)大橋」(開通2009年。同1650m)、「大ベルト橋・イーストブリッジ」(同1998年。同1624m)など世界有数の吊り橋のほとんどは、桁が薄いことが分かります。
しかし明石海峡大橋の場合、桁が比較的「ゴツい」印象があります。これは強風時に安定性を持たせるため、1層式の桁の下へさらにトラス構造の桁「補剛桁」を設けているからです。周囲の地理的条件が強風を起こしやすいことや、例年の台風に備えなければならないためのようです。
ところがこれを勘案しても、この橋の補剛桁は大袈裟な印象が拭えません。補剛桁には中央部に管理用通路が設けられているものの、よく見ると、その通路は真ん中ではなく片側に寄るなど不自然さが漂っています。また天井までの高さは優に7~8mあり、真ん中部分にぽっかりと空いた空間も「何かを通すゾ」感が満載で、橋梁の強度などはともかく、鉄道を複線で通すのも問題がなさそうです。
これらを勘案すると、やはり前述のとおり新幹線を通そうとした設計の一部の”残滓”が、そこはかとなく残っているのかもしれません。
事実、神戸・鳴門ルートのもう1本の吊り橋で、明石海峡大橋と対をなす姉妹橋・「大鳴門橋」(淡路島~四国、全長1629m、最大支間長さ876m)は明確に2層式で建設されています。そして、こちらの下層には、将来的にフル規格の新幹線を複線で敷設できる準備がされているのです。
大鳴門橋には南海電車を走らせようよ、紀淡海峡どう渡るか見当つかないけど