濃すぎるくらいがいい? 路線バス会社のマニア向けツアーなぜ 減収補うよりも重要な目的

コロナ禍以降、バス会社などが自ら企画した、ならではのマニアックなファン向けツアーが各地で開催。長らく低迷してきた需要が回復してきた今も続ける事業者は、減収を補う以外の“真の目的”を持って行っています。

変化していったツアーの“狙い”

 2020年には成功を収めたという京阪京都交通のマニア向けツアーですが、同種のツアーが全国的に増えたほか、そもそもマニアがSNSで仲間を募り、同じようなことを行っていた状況もあり、差別化を意識したといいます。

「その時にタッグを組んだのは、(ツアーのガイド役として参加する)井上 学氏(龍谷大学文学部教授)です。マニア向けツアーを手っ取り早い収入回復策としてではなく、事業者が行う付加価値をしっかりコンテンツに反映させる狙いで、『地域交通に乗る・見る・学ぶ』といったテーマを主軸にしたツアーを設定しました」(京阪京都交通)

 ツアーでは他事業者などにも訪問。受け入れが他事業者に広がる背景には、その事業者にも「収入が生じるように心がけています」とのこと。パートナー事業者が販売する1日乗車券などを記念として配布するなどして、「ツアーで訪れた地域・事業者を再度個人でゆっくり訪問しなおしてください」ということを、バスガイドを通して伝えているのだといいます。

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合併前の大阪空港交通とタッグを組んだツアーの様子。伊丹空港で(画像:京阪京都交通)。

 ファンからの反応はよく、毎回が満員。ただ、ツアーを実施する理由は、収入減を補うだけではないといいます。

「コロナによる減収以上に深刻なのは、乗務員不足です」。京阪京都交通はこう話し、マニア向けツアーには将来の乗務員確保につながる、いわば“青田買い”の意味が含まれていることを明かしました。

 そこで今夏に開催するツアー「叡山電車車庫見学と比叡山ドライブウェイ」と「長いぞ!大きいぞ! 連節バスを学びに行こう!」(後者は神姫バス三田営業所を訪問)は、親子向けとし、鉄道やバスの現場を見学、公共交通をテーマとした課題学習に役立てる狙い。「担い手を早くから啓蒙して育成しなければ、いずれ運行が立ち行かなくなる」という危機感があるといいます。

 京阪京都交通の担当者は、ツアーを通じて参加者の「好き」という意識を「働いてみたい」へ変えさせるとともに、同種のツアーを地方自治体と組んで拡大させていきたいと話します。「担い手の育成」が、自治体や事業者などによる公共交通の利用促進の取り組みを意味するモビリティマネジメント(MM)のひとつとして理解を得られる内容にしていきたいということです。

【了】

【濃い!】過去のマニア向けツアーの内容 画像で見る

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