3D「とまるな」で警告 道路の“視覚のマジック”踏切版が登場 とまるとヤバい踏切
通学路などにはクルマのドライバーに減速を促そうと、道路のペイントで幾何学模様を浮かび上がらせる「イメージハンプ」が導入されることがあります。同じように、文字を浮かび上がらせる踏切が北九州に登場しました。
「イメージハンプ」の文字版
端から端までが長い踏切は全国にいくつもありますが、そこでは遮断時、通り抜けられず踏切内に取り残される事故がしばしば発生します。途中に歩行者や自転車用の待避スペースが設けられる例もありますが、クルマとなれば車長もあり、踏切内にとどまるのは非常に危険です。
横断中に警報機が鳴れば、人は焦るものです。踏切内での立ち往生を防ぐため、全国で様々な工夫が凝らされていますが、今回は「3Dで浮かび上がる表示」を導入した踏切を紹介します。
場所は小倉駅(北九州市小倉北区)近くにある「南山越町通」踏切。JR鹿児島本線の列車や、長大編成の貨物列車が頻繁に行き来します。線路は全部で8つあり、その長さは約45mに及びます。これだけ長いと、踏切内に進入してから出るまでにも時間を要しますが、同踏切では横断中に警報音が鳴り始める場合もあるようです。
この踏切の路面には「踏切内とまるな」との文字が書かれ、それが浮かび上がるよう見えるのです。ただし、これは歩行者目線だと読みづらく、少し高い、クルマのドライバー目線で眺めると、文字が浮き上がります。踏切の横にある大きな跨線橋から、望遠レンズで撮影しても、確かに「踏切内とまるな」の文字が浮き上がって見えました。
表示がある場所もポイントかもしれません。隣の線路とやや間隔が空く2か所に書かれており、察するに、この場所を安全地帯と錯覚してしまうようです。
この3D表示は2022年3月に導入されたばかり。どれほどの効果があるのか判明するのは、しばらく先になりそうです。同じような3Dの路面表示は、例えば通学路などで減速を促す場合に、道路のペイントで幾何学模様を浮かび上がらせて障害物に見立てる「イメージハンプ」が知られますが、その踏切版といえそうです。
【了】
Writer: 小川裕夫(フリーランスライター・カメラマン)
フリーランスライター・カメラマン。1977年、静岡市生まれ。行政誌編集者を経てフリーに。官邸で実施される首相会見には、唯一のフリーランスカメラマンとしても参加。著書『踏切天国』(秀和システム)、『渋沢栄一と鉄道』(天夢人)、『東京王』(ぶんか社)、『私鉄特急の謎』(イースト新書Q)など。
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