ミニ新幹線は招かれざる存在なのか 山形・秋田新幹線だけなワケ 貼られた“レッテル”

フリーゲージトレインとミニ新幹線

 北陸新幹線の糸魚川~魚津間、九州新幹線の八代~西鹿児島間など、スーパー特急として着工しながら途中でフル規格に変更された例はありますが、1995(平成7)年以降に新規着工した区間を見るとミニ新幹線はひとつも採用されていません。その理由としては、在来線を改軌することなく乗り入れ可能なフリーゲージトレイン(FGT)の登場が影響していると考えられます。

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大村車両基地に留置される、西九州新幹線「かもめ」のN700S(乗りものニュース編集部撮影)。

 FGTは西九州新幹線の新鳥栖~武雄温泉間や北陸新幹線の敦賀~大阪間への導入を前提に技術開発が進められ、構想中の四国新幹線でも選択肢のひとつと考えられてきましたが、残念ながら速度、コスト、耐久性などの課題をクリアできず、実用化は断念されました。

 ではミニ新幹線が再び採用されるかというと、どうせなら「どじょう」ではなく「うなぎ」が食べたいというのが沿線の本音でしょう。ミニ新幹線が成功した山形・秋田でも、福島~秋田間にフル規格の奥羽新幹線を建設しようという運動があります。

 一方で、国と長崎県から西九州新幹線 新鳥栖~武雄温泉間のフル規格化を求められている佐賀県や、北陸新幹線の新大阪開業によって湖西線が並行在来線になってしまう滋賀県のように、「そもそも『うなぎ』は注文していない」という声もあります。

 ミニ新幹線が本当に格落ちの「どじょう」なのかは別にして、フル規格もミニ新幹線も(あるいはFGTも)それぞれ特性が異なり、序列があるものではありません。ミニ新幹線にもまだ可能性は残されているのではないでしょうか。

【了】

【伸びしろあるぞ「ミニ新幹線」】新トンネル建設でさらにスピードアップ

Writer: 枝久保達也(鉄道ライター・都市交通史研究家)

1982年、埼玉県生まれ。東京地下鉄(東京メトロ)で広報、マーケティング・リサーチ業務などを担当し、2017年に退職。鉄道ジャーナリストとして執筆活動とメディア対応を行う傍ら、都市交通史研究家として首都圏を中心とした鉄道史を研究する。著書『戦時下の地下鉄 新橋駅幻のホームと帝都高速度交通営団』(2021年 青弓社)で第47回交通図書賞歴史部門受賞。Twitter:@semakixxx

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コメント

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4件のコメント

  1. 私は以前山形県に奥羽新幹線ではなく、山形新幹線の改良で今以上になるのではと提案しましたが何の検討もなく、断りの手紙が来ました。私の案は新板谷トンネルの早期実現、山形線の内福島⇋山形間の複線化、さらに踏切の統廃合による立体交差化により鉄道施設内に入れないようにすれば160km運転が可能になるのではないか?そうすれば僅かの資金で奥羽新幹線と同等の運行が可能になり、現在のつばさ停車駅もそのまま、もし奥羽新幹線となれば米沢、山形、新庄以外の駅は統合され、観光地の上山温泉、天童温泉、東根温泉、銀山温泉等、各市町が廃れる所が出てさらに改軌してしまった山形線では仙台や酒田等にも乗り入れられず第三セクター化した山形線も廃れるのではと提案しました。新幹線ありきの山形県に失望しました?

  2. YAHOOのコメントでどなたかが書いていたダブルタイヤ方式ならぬダブル車輪で狭軌と標準軌に対応すれば、FGTはもういらないし、複雑な機構も必要ないので、標準軌の上なら300km/hにも耐えられる。
    西九州新幹線の武雄ー新鳥栖間は狭軌のまま走れるので、ミニ新幹線規格のまま長崎-博多、新大阪まで走れる。
    JR九州はE8系をベースとして車両を開発すれば、早期に西九州新幹線は完成する。

  3. ありがとうございます。ある意味、日本での在来線の狭軌レール(1067ミリ)が元凶を招いたのかもしれませんね。今から150年前に日本で鉄道が開通しましたが、そのときのレール幅を、その後の国鉄(現在のJRグループ)が日本での標準軌として採用したわけであります。そして1964年の東海道新幹線開業時では高速運転で、より安定性を確保するため世界標準軌(1435ミリ)を採用したわけであります。当時はもちろんのこと、新幹線はまったくの別物扱いであり、当然既存の在来線との乗入はまったくと言っていいほど想定はしていなかったのです。これが今となってはアザとなったかもしれませんね。もし、JRの全ての在来線が新幹線と同じ世界標準軌だったら日本全国で在新直通列車つまり、ミニ新幹線が開業していたかもしれませんね。

  4. ダメな記事。
    並行在来線のことも含めて考えなくてどうするのさ。北陸新幹線の金沢以西の延伸を受けた福井県内の新三セクの事業計画は初年度から赤字。「はぁ?」だよ。計画の意味ない。利便性の向上とか言ってるけど、意味不明ですよ。その他、青森の三セクも大変なことになってるじゃないか。
    フル規格の後、並行在来線の採算が厳しくなるのが明らかだから、JRは手を引くのだろうに。
    山形秋田では、JRが在来線をやってくれてるありがたみが普通になりすぎててわからんのよ。今が何とかなってるら、フル規格なんて高望みができるだけ。JRが在来線を放り出すことの絶望を少しは考えればいい。上下分離なんて余程うまく交渉しないと通るとは思えない。