トム・クルーズもここで習った!? P-51「マスタング」飛行学校に突撃 ライセンス取得への壁とは

万事全て「先立つものは金」の世界

 また、パイロットとしての努力だけでなく、P-51の場合は金銭的な負担も非常に大きくなります。P-51は近年、投資対象にもなっていることから価格が高騰しており、中古市場に出回る機体の価格に関する最低ラインは200万ドル(約2.6億円)以上。これにメンテナンスと燃料費、さらに高額な保険料が加わるため、あるオーナーは「飛ばさなくても毎月1万ドル(約130万円)は掛かる」と愚痴混じりに教えてくれました。

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スタリオン51の教室といえるブリーフィングルーム。地図や模型のほかに、機体に取り付けた記録用カメラもあり、その映像を飛行後の評価で見ることができる(布留川 司撮影)。

 スタリオン51での訓練費用の詳細は公開されていませんが、ここで行っている一般人向けの体験飛行が1時間3350ドル(約44万円、2017年の価格で現在の価格は要問い合わせ)であることを考えれば、ライセンス取得までに掛かる費用は数万ドルとなるでしょう。実際、P-51の操縦訓練を受ける人の多くは、何らかしらの事業で成功を収めた富裕層が多いようです。

 これまでにスタリオン51でP-51の操縦資格を取得したパイロットは、日本人を含め約200名。P-51という希少な大戦機であることや、そこに掛かる費用や手間を考えれば、この数字も決して少なくはないと言えるのではないでしょうか。

 大戦機を操縦するというのは、ある意味で飛行機マニアにとってひとつの到達点でしょう。誰もがチャレンジできるわけではありませんが、スタリオン51のインストラクターいわく、訓練自体は「身体的に問題がなければ70歳の人が操縦資格を取った例もある」ということなので、人生の目標として掲げ続けるのもいいかもしれません。

【了】

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Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)

雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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