クルマの後席、邪魔な床の“出っ張り”がなくなってきたワケ なくせない車種も?

フラットな床のクルマ、今後さらに増加?

 FRレイアウトは、クルマの古典的スタイルであり、日本でも昭和のころはFRレイアウトが主流を占めていました。昭和のベストセラーである「カローラ」も、最初はFRレイアウトだったのです。

 その後、日本車、特に小型車ではFFレイアウトが増えていきます。技術的には難しいFFレイアウトも、できてしまえば「乗員用のスペースを大きくとれる」というメリットがあります。そうした時代の流れに沿って、タクシーもFRからFFレイアウトのクルマへと変わってきたのです。

 FFレイアウトになれば、大きな縦置きトランスミッションがありませんから、当然、センタートンネルを小さくすることができます。また、技術が高まるほどに、必要な剛性を確保しながら、床面を薄くできるようになってきました。そうしたFFレイアウトの浸透と、ボディ剛性アップの技術的な進化により、現在のような箱型モデルのフラットな床が実現したと言えるでしょう。

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FRが多い高級車はセンタートンネルの出っ張りが目立つ(画像:gargantiopa/123RF)。

 最近は、さらに床面をフラットにしやすくなる技術が普及しています。それが、後輪をモーターで駆動する4WDです。トヨタ「プリウス」や日産「ノート」のようなハイブリッド・モデルは、エンジンで電力を生み出すことができます。その電力を使って後輪をモーターで駆動できれば、プロペラシャフトは不要となります。つまり、前輪はエンジン・モーターのハイブリッドで、後輪はモーターで駆動する4WDです。その結果、最新のハイブリッド・モデルのセンタートンネルは非常に小さなものとなりました。

 さらに、今後はEV(電気自動車)の普及が予想されます。EVはモーター駆動のため4WDであってもプロペラシャフトは必要ありません。また、多くのEVは床の中に電池をびっしりと敷き詰めます。そうとなれば床面の剛性は高く、さらに床をフラットにしやすくなります。今後、EVが増えるなら、フラットな床のクルマも増えるのではないでしょうか。

【了】

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Writer: 鈴木ケンイチ(モータージャーナリスト)

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車専門誌やウェブ媒体にて新車レポートやエンジニア・インタビューなどを広く執筆。中国をはじめ、アジア各地のモーターショー取材を数多くこなしている。1966年生まれ。

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コメント

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1件のコメント

  1. この文面では排気管が残存してても、出っ張らなくなった理由が欠落してる。
    ミッションやプロペラシャフトの件は嘘ではないが、最大の原因は最低地上高と室内床高さのお陰だろう。
    未舗装路が極端に減少して最低地上高を昔より少なく出来る様になったのと、床高さや全高に神経質にならなくても重心を下げたり転覆し難く出来る様になったからなんじゃない?。