「T-2・F-1は『ジャギュア』のパクりだろ」フランスが日本に怒った理由 背景に“戦闘機以外”?
盗作に敏感になっていた仏国…なぜ?
航空機の設計というものは、試験の一部を見ただけで模倣はできず、ノウハウを蓄えるのは長い時間が必要です。そもそも、使う目的が戦闘や攻撃用途で、エンジンも同じなら、航空機の形はおのずから似てきます。ただ、疑いをかけてきた当時、実は仏側は“盗作”へ神経質になってもいたようです。
その要因は、戦闘機ではなく、英仏共同開発の超音速旅客機「コンコルド」にありました。
「コンコルド」は1969年3月初飛行。しかしそのわずか3か月前の1968年12月、旧ソ連が開発していた超音速旅客機Tu-144が先んじて飛びました。このTu-144は、あまりにそのデザインが「コンコルド」に似ており、「コンコルド・スキー」と西側から「模倣」と揶揄されており、一部ではスパイ活動による盗作も疑われていたと記録されています。この例もあったため、この時期の仏にとって、T-2・F-1は「コンコルド・スキー」のトラウマを再想起させるものだったのかもしれません。
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このように、良好な関係を持つ国同士でも、航空機の開発はしのぎを削り合い技術漏洩の防止に躍起になります。
これはある意味では、日本と英国がこれから共同開発に取り組もうとしている「次期戦闘機」にもつながる恐れのある話しかもしれません。過去の事例から見るに、お互いが持ち寄った技術を保護し合わなければ、似た技術がほかの国で使われた場合、「盗作されたのでは」と疑心暗鬼になり、協力態勢にひびが入る可能性も否定できないのです。T-2・F-1と「ジャギュア」では、日本と英仏それぞれに開発して似た形になりましたが、次期戦闘機では、現在公表されている日英それぞれの戦闘機のイメージ図が、どのようなプロセスを経て統一されていくかという動向は、注目を集めそうです。
【了】
Writer: 相良静造(航空ジャーナリスト)
さがら せいぞう。航空月刊誌を中心に、軍民を問わず航空関係の執筆を続ける。著書に、航空自衛隊の戦闘機選定の歴史を追った「F-Xの真実」(秀和システム)がある。
>「ジャギュア」用に開発されたアドーア・エンジンを2基積み
正確には、アドーアをライセンス生産したIHI製の国産品
(型番は確かTF40-IHI-7)だったような。
アドーアはミリネジが使われているらしいんですが、
防衛装備品の規則の関係でネジを全部インチネジにせねばならず、
また当時の英国はフォアマン制度の名残で
生産工程がマニュアル化されておらず、
一部の部品は作り方もわからず設計変更する必要があったとか。
ロールス・ロイスと正式な契約を結んで設計変更を行ったそうで、
このときの協力関係がロールス・ロイスとIHI共同のRJ500開発計画
(後にIAE V2500エンジンに発展)の開発につながったとも言われています。
空気取入口や翼の形状は結構違うのでパクリという程ではないだろう。F1はむしろF4をだいぶ模倣している。ただしフランスで見学した際に、同型エンジンだし配置がF4同様そこでいいんだなという確認はしたと想像出来る。
F-1とジャギュアは同じアドーアエンジンを使う双発の支援戦闘機と攻撃機ということで、魚と鯨類が同じ形なる収斂現象みたいな感じで似たような外観になったんでしょうね。(理屈としては)