台湾待望の最強戦車M1「エイブラムス」 運用開始で島の守りどう変わる?

台湾陸軍が待ち望んだ最強新鋭戦車M1「エイブラムス」が、2024年にアメリカから到着する予定です。これにより台湾陸軍の戦車戦力は大幅に強化される模様ですが、そうなると台湾の守り方も変化するのでしょうか。

海空に比べ後回しされていた陸上戦力、ついに強化へ

 2024年、台湾(中華民国)陸軍に待望の新戦車M1A2「エイブラムス」が到着する予定です。そもそも台湾は、かねてよりアメリカ製のM1「エイブラムス」の購入を希望し続けてきた経緯があります。以前のアメリカ政府は中国の顔色をうかがって、台湾の要望をかなえることはしていませんでしたが、軍事力を質・量共に急速に向上させ続ける中国を警戒したトランプ政権(当時)が2019年、ついに売却を決定しました。

 加えて2022年初頭になると、ロシアによるウクライナ侵攻が勃発したことで、アメリカ製最新兵器の台湾への引き渡しが加速しているようです。そこで、このM1「エイブラムス」の引き渡しが台湾陸軍にどう影響を与えるのか、同陸軍の戦車戦力の現状と合わせて見てみましょう。

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射撃訓練を行う台湾陸軍のCM11戦車。M60戦車の車体にM48戦車の砲塔、M1「エイブラムス」戦車の射撃統制システムなどを組み合わせた台湾オリジナルの戦車(画像:台湾陸軍)。

 台湾は日本と同様の島国であり、その軍事力も、いまや自衛隊と同じく専守防衛を旨としています。よって敵の侵攻を空軍と海軍で防ぐのが第一であり、台湾本土に上陸した敵を迎え撃つために陸軍が出動するのは、まさに「最後のカードを切る」のと同じといってよい状況となっています。

 そのため、台湾軍のなかでも陸軍は、空軍や海軍と比べて装備の質的向上が後回しにされがちでした。加えて、一時は前出したようにアメリカが中国の顔色をうかがっていたことも影響して、重要度が高い空軍や海軍の装備の更新が優先されたことで、陸軍は半世紀ほど前の骨董品的な兵器を使い続けていたこともあったほどです。

 しかし、冒頭に記したようにロシアによるウクライナへの侵攻が開始された結果、ロシアとの関係性が良好な中国の台湾に対する動きを懸念したアメリカは、ここにきて、台湾への兵器供給を加速させる姿勢を示しています。

 そういったなか、注目すべき陸軍の新装備が、近く引き渡される予定のM1A2T戦車です。

【写真】台湾の現有戦車、M60やCM11ほか

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