50年走ってた!? 「私鉄の急行形」東武350型 なぜ長く重宝されたのか 東武の一時代が終焉

東武鉄道の350型は1991年に登場した特急形電車ですが、実はこのときは“再出発”。さらに30年以上使われ、引退した時は50歳を超える長老でした。日光や会津など沿線の名所への輸送を担った350型は、どんな生涯だったのでしょうか。

「スノーパル」など夜行列車にも使用された

 また、300型と350型は前面の前照灯と尾灯を角形に改めたほか、列車名を表示する愛称幕を大型化しています。内装では座席の交換を行っていますが、急行「りょうもう」の時代からの回転クロスシートを維持し、特急列車の設備と差別化が図られています。

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夜行列車「スノーパル」(画像:東武鉄道)。

 300型は東武日光方面の急行「きりふり」、鬼怒川温泉方面の急行「ゆのさと」で使用された一方、350型はこれらの列車に加えて、急行「南会津」や東武宇都宮発着の「しもつけ」でも使用され、野岩鉄道会津鬼怒川線や会津鉄道線にも乗り入れています。ほかにも、「尾瀬夜行」や「スノーパル」といった東武鉄道の夜行列車でも使用された実績があります。

出番が少なくなっていった350型

 2005(平成17)年には急行「南会津」が廃止されたほか、翌年には「きりふり」「ゆのさと」「しもつけ」が特急に格上げされたことで、300型と350型もそのまま特急用車両に昇格しています。この頃には、両車を使用した列車が少なくなり、「ゆのさと」は臨時列車のみの設定となっていたほか、「きりふり」は臨時列車に加え、通勤ライナーのような位置づけとして平日の浅草方で運転されていました。

 2017年には通勤ライナー的な設定もなくなり、運用を失った300型は同年中に引退。残った350型は「しもつけ」と、同年に設定された土休日の東武日光発着の「きりふり」で使用されていましたが、2020年には「しもつけ」が休止を経て廃止され、いよいよ「きりふり」だけとなっていました。

 ついに2022年3月のダイヤ改正で「きりふり」が消滅。350型は定期運用から離脱しました。その後はツアー列車で使用され、同年7月に実施された廃車回送の列車に乗車するイベントを最後に、引退しています。

 最後の20年ほどは特急形として君臨したものの、「私鉄の急行形」の趣を持った車両が見られなくなることは、東武鉄道における一時代の終焉ともいえるかもしれません。

【了】

【色が全く違う!】赤い「急行」だった改造前の姿(1800系) 写真で見る

Writer:

1974年東京都生まれ。大学の電気工学科を卒業後、信号機器メーカー、鉄道会社勤務等を経て、現在フリー。JR線の2度目の「乗りつぶし」に挑戦するも、九州南部を残して頓挫、飛行機の趣味は某ハイジャック事件からコクピットへの入室ができなくなり、挫折。現在は車両研究が主力で、技術・形態・運用・保守・転配・履歴等の研究を行う。鉄道雑誌への寄稿多数。資格は大型二種免許を取るも、一度もバスで路上を走った経験なし。

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