可動橋を渡るバス “月”へ行くバス…全国の名物路線が次々廃止へ 2022年8~9月

「温泉街のバス乗り継ぎ」「月に行くバス」消滅【東日本~中部】

●庄内交通:酒田~湯野浜温泉線、酒田~余目線など(山形県)
・廃止区間:庄交バスターミナル~湯野浜温泉など
(2022年7月31日最終運行、8月1日廃止)

 山形県・庄内地方にくまなくバス路線網を広げていた庄内交通も近年では路線撤退が続き、地域の中心である酒田市内のバスが、7月をもってほとんど消滅。これにより酒田市内の路線は南隣の庄内町・鶴岡市を結ぶ路線(イオン三川乗り換え)と庄内空港への連絡バスだけが残ります。「酒田庄交バスターミナル」も廃止となり、残った路線や高速バスの乗降は、JR酒田駅前に新たに建設されたバス停で行われます。

 今回の路線廃止には酒田市内~湯野浜温泉間の路線も含まれており、数多くの外湯でのんびり過ごしたあと鶴岡方面に乗り継ぐことができなくなりました。温泉街のバスターミナルから10歩も歩くと夕陽の眺めが素晴らしい砂浜があり、格安で入湯できる公営の外湯もすぐ裏手に。その近くにあるかつての鉄道線「庄内交通湯野浜線」の駅跡や遊歩道を歩くくなどして、ゆったりと時間を過ごせるバス乗り継ぎルートが、ひとつ消えました。

●国際興業:飯05・飯11系統(埼玉県)
・休止区間:飯能駅~中藤、飯能駅~間野黒指
(2022年8月31日最終運行、9月1日休止)

 江戸時代から木材・石灰の産地として賑わっていた飯能市間野地区の「間野黒指」に向かうバス路線は100年以上の歴史があり、1959(昭和34)年までは「飯能交通」によって運行されていた路線です。一部で東京都(青梅市成木地区)を経由しつつ、間野地区では狭い道路を抜け、バスが半分ほどしか入らない転回場で方向を転換。多くのバスファンが訪れる聖地でもありました。

 2018(平成30)年には利用の低迷を打開するため、大河原工業団地を経由する便(飯11-2系統)運行を開始するも、3年ほどで廃止。この路線の休止も既定路線となっていました。なお路線自体は休止扱いとなりますが、今後は新しく飯能駅・東飯能駅に発着する高麗01・高麗02系統が新設され、ワゴン車で運行が継続されます。

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間野黒指行きの途中の下畑バス停。埼玉県飯能市にあるが、都営バス(成木循環線)も通る(乗りものニュース編集部撮影)。

●遠鉄バス:伊平線・秋葉線(静岡県)
・廃止区間:井伊谷~伊平、山東~唐沢

 2017年に放映されたNHK大河ドラマ「おんな城主直虎」の舞台ともなった浜松市の山間部・井伊谷から、さらに山奥に分け入るバスが廃止となります。伊平線が運行されている地域にはデマンドバス「いなさみどりバス」などもあり、運行時間などは限られるものの移動手段は維持される見込みです。

 しかし秋葉線の廃止により、知る人ぞ知る「月」バス停の廃止が話題となっています。このバス停は天竜川を挟んだ対岸にある“月”集落(浜松市天竜区)の最寄りバス停でもあり、近くにあった船着場から渡船が発着していた頃は1日十数人の利用があったといわれるものの、下流への架橋と渡船の廃止後は利用客が激減。2019年にバス路線「北遠本線」の事業主体が遠鉄バスから浜松市の自主運行バスの運行に変わった際には、乗客の少ない月バス停周辺は停車地から外れました。そうしたなか停車を続けていた遠鉄バス秋葉線の廃止によって、バス停としての役目を終えることになりました。

【廃止】「月まで3km」標識で有名の“月” かなりの秘境だった

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コメント

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1件のコメント

  1. 宮崎交通の高鍋〜西都市の路線もなくなるとは、残念です。
     乗り鉄・乗りバス趣味の私は、だいぶ以前の学生時代に国鉄バス末期に国鉄の高鍋駅(今は当然JR)から穂北駅前(当時、国鉄妻線はすでに廃止で乗れずじまいで残念でしたが、バス停名には当時は残ってました)まで乗り、当時の国鉄バスの日肥線に乗り、村所で小休憩のあとに国鉄バス路線にさらに当時はまだ国鉄だった鉄道の湯前線の湯前駅まで乗り継いだ思い出の一部となっている路線です。